耳の感染症は、親が子供を病院に連れて行く最も一般的な理由の1つだ。スマホを使って中耳炎を診断するアプリが間もなく公開される。
音波の跳ね返りを利用した中耳炎診断アプリ
子供の耳の感染症で最も多い中耳炎 (ちゅうじえん) は、鼓膜の後ろにある中耳に水分がたまり、感染したときに起こる。
中耳炎は、生後半年から1歳、2歳ぐらいがピークで、その後5歳ぐらいまでは非常に多い病気だ。
中耳炎が進行すると、熱が出たり、耳を痛がったり、耳から膿などが出てきたりする。
アメリカ・ワシントン大学の研究者らは、紙とスマホのマイクとスピーカーだけで、鼓膜の後ろの水分を検出できるアプリを作成した。
使い方はとても簡単で、紙を小さく漏斗状に丸めて耳に入れ、スマホのアプリから音を出して耳に入れ、その反射率から水が溜まっているかを判定する。
水がある病気の状態と、ない健康な状態で反射率が変わることを利用している。
0.15秒の, 鳥のさえずりのように聞こえる音をこのアプリでは流している。
音の変化を検出し、耳に水分が溜まっているかどうかを判断する機械学習アルゴリズムを訓練するために、研究チームはアメリカのシアトル小児病院で18か月から17才の53人に協力をしてもらいデータを集めた。
このアルゴリズムは、専門の耳鼻科医の診断と同等の感度があったという。
YouTubeに発表された動画 (英語) はこちら。
この研究成果はScience Translational Medicine誌に「Detecting middle ear fluid using smartphones」というタイトルの論文として発表された。
中耳炎は自宅で診断する時代に?
この技術の利点は、1枚の紙とスマホ以外不要であるということ。
中耳炎は、抗生物質などで容易に治療できる。たまった水分についても、耳鼻科医の判断で治療により排出されることもできる。
研究者らは、スピンアウト会社のEdus Healthを通じてこの検出キットを広めるとのこと。
自宅で水分が溜まっているかどうかを簡単に調べることは、子供を病院に連れて行く必要があるかどうかを判断するのに大いに役立つだろう。