脊髄損傷でも歩ける時代への一歩【脳波を読み取るスーツの開発】
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麻痺した男性が、頭でコントロールする外骨格スーツを使って再び歩くことができるようになったという報告がThe Lancet Neurology誌に掲載されました。原題は「An exoskeleton controlled by an epidural wireless brain–machine interface in a tetraplegic patient: a proof-of-concept demonstration」です。

脊髄損傷患者でもスーツの力を借りて歩けた

交通事故などで背骨の中を通っている神経である脊髄を傷つけると、脳からの司令がそこより下に届かなくなります。そのため、歩こうと思っても歩けなくなってしまうのです。

脊髄損傷は毎年5000人ほど新たに発症しており、その対策は急務です。

今回、脳に埋め込まれたセンサーとそれに連動するスーツを使うことで、4年前の転倒で首を骨折した男性が腕や手を動かせるようになりました。まずは動画をご覧ください。

脳波を読み取るスーツの開発

複数のグループが、脊髄損傷の患者の考えを読みとることで体をコントロールできるようにする方法に取り組んできました。これまでのところ、最も一般的なアプローチは、超薄電極を脳内に挿入することでした。

しかし、これには頭蓋骨にワイヤーを入れる必要があり、それによって感染症が起きる可能性があります。電極は、差したあとの数ヵ月の間に徐々にうまく機能しなくなることもありました。

こうした問題を解決するために、フランスのグループは、脳の中ではなくそばに電極を置きました。ワイヤレスの電極は脳の外にあるので、何らかの感染があっても脳の外にとどまります。

研究チームはまず、脳スキャンを数回実施し、歩くことや腕を動かすことを考えたときにどの部位が活動的になるのかを調べました。

そのデータを使って、体を動かせるような特殊なスーツを作ったのです。スーツは転倒防止のため頭上のハーネスから吊り下げられているので、まだ単独で歩けるようにはなっていませんが、麻痺に苦しむ方が自分で歩けたというのは大きな一歩です。

今後の課題

チームの次の目標は、バランスをとって歩けるようにすることです。これにはより高速な計算速度が必要であり、攻略するべき難題です。

このセンサーは、これまでの脳内に埋め込む電極と違って27か月後という長い期間がたった後でも機能していました。

脊髄損傷の方に使用されるまでにはまだまだ課題もありますが、これは極めて重要な研究になりそうです。

また、ロボットは幼稚園の教育や手術現場にも使われ始めています。

これまでは考えられなかったところにどんどん普及していきそうですね。

まとめ

最後に今回の内容をまとめます。

  • 脊髄を損傷すると歩けなくなる
  • 脳波を読み取るセンサーを使って歩くのを補助するスーツが開発された
  • よりバランスを保てるスーツを作るのが次の目標

今日も【生命科学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。

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