サルにドローンを見せたらどんな反応をするのか、という問題の答えが1年間のフィールド調査の結果解明され、Nature Ecology & Evolution誌に掲載された。原題は「Conserved alarm calls but rapid auditory learning in monkey responses to novel flying objects」だ。
ミドリザルがドローンを見た時の実際の音声
セネガルのニオコロ – コバ国立公園 (Niokolo-Koba National Park) の森で、研究者らはその地域のミドリザル(Chlorocebus sabaeus)の上空に無人偵察機ドローンを飛ばした時の反応を調べた。
サルは直ちに反応し、新たな脅威があるというサル同士の警告音を発した。
これがその実際の音声だ。
発声の解析から、ヒョウやヘビに対する音ではなく、鷲に遭遇した時の警戒音とほとんど同じであることが分かった。
ヒョウに対する警戒音
ヘビに対する警戒音
明らかにDroneの音とは別であることがわかる。これはメスの鳴き声だが、オスの鳴き声についても公開されている。
サルが通常見ているその地域の鳥は脅威とは見なされないが、ドローンは危険だと認識されているようだ。
ドローンや鷲はどちらも空の脅威であり、その警告音が同じであることは合理的である。
サルはドローンにすばやく適応し、地上からドローンの音を鳴らしても上空を探したとのこと。
サルから約60メートルの高さでドローンを1年に渡って飛行させるフィールドワークを行った研究チームのメンバーにも賛辞を送りたい。
この研究の意義
猿のコミュニケーションシステムが我々のものとどれほど違うのかを教えてくれる。
あまりよく分かっていない人以外の霊長類における音声生成と理解の仕組みを解明していくことにもつながると期待される。