大規模画像データ解析に使うソフト 【ImageJとそのプラグインを中心に】
執筆者
【生命医学をハックする】運営者 (@biomedicalhacks)。生命科学研究者、医師・医学博士。プロフィールはこちら

生命科学・医学においては、CTやMRI、手術標本の病理 (顕微鏡) 画像、あるいは近年話題になっている臓器を透明化して超解像顕微鏡で生命現象を探求する方法などで、とても大きな画像データがたくさん得られます。

この記事では、そういった大画像データを処理するのに使えるツールをまとめました。

ImageJ

ImageJは、特に生命科学や医学画像処理に使われるフリーソフトで、もともとは1997年にアメリカ国立衛生研究所 (NIH) の研究者が公開しました。

各ピクセルの数値を元に計算処理ができ、しかもとても使いやすくフリーソフトだということもあって人気に火がつき、現在では多くの研究者が研究に使っています。

ソースコードが全てGitHubで公開されているというのも、計算過程にブラックボックスがないという意味で科学研究に向いています。

また、ソースコードが全て分かっているからこそ、いろいろな人達がImageJに上乗せして使える便利なツール (プラグイン) を開発することができています。

生命医学の画像データは時として非常に重く (テラバイト級以上)、これが一般的なツールではなかなか処理できない要因になっています。

しかし近年、大規模画像データに特化した解析ツールも登場してきました。ImageJベースのツールも、そうでないツールも合わせてご紹介します。

ImageJベースのツール

BigDataViewer

BigDataViewerという画像再起ソフトFijiのプラグインを使えば、ImageJのシステム (ImgLib2libraryなど)を活用して、KLBフォーマットだけでなく、HDF5、Imaris (高精細3D/4D画像解析ソフトウェア)、CATMAIDなどを含む様々なフォーマットにアクセスすることができます。

BigStitcher

BigStitcherは、哺乳類の脳全体といった、テラバイト規模の画像データの計算を容易にするソフトウェアです。

このツールはImgLib2とBigDataViewerを使っていて、広く使用されている画像処理パッケージFijiのプラグインとして利用できます。

巨大画像データのアノテーションツール

画像が巨大だと、多くのツールではそれぞれの部位が何か注釈 (アノテーション) をつけることができません。

この問題を解決した大規模画像用のアノテーションツールがいくつか開発されました。

Bigwarp

Bigwarpは、BigDataViewerを使い、大きな画像であっても手動でアノテーションをつけることができるツールです。

iLastik

iLastik(interactive learning and segmentation toolkit) は、直感的に使える画像分類・アノテーションフレームワークとして広く採用されています。

機械学習や画像処理についての専門知識がなくても、ツールで直感的に実行できます。

CATMAID

CATMAID (Collaborative Annotation Toolkit for Massive Amounts of Image Data)は、大規模な電子顕微鏡・光学顕微鏡画像データに効率的なアクセスするためのwebベースのツールです。

神経研究に使われる画像解析ツール

体の臓器の中で最も分かっていないのは脳であり、そのため脳の画像は研究対象としてますます注目が詰まっています。

そのマウスの脳の構造や機能の関係に特化したツールもあります。

WholeBrain, OpenBrainMap

WholeBrainOpenBrainMapは、解剖学的なデータと分子的なデータを統合するフレームワークです。

Allen Instituteが作成したマウス参照アトラスの情報を使っています。

関連サイト・図書

この記事に関連した内容を紹介しているサイトや本はこちらです。
ImageJ

まとめ

最後に今回の内容をまとめます。

  • ImageJは生命医学画像解析に最もよく使われるツール
  • 大規模データに特化したプラグインがある
  • 生命医学画像データはテラバイト級以上の大規模化の流れ、対応するツールの出現が熱望される

今日も【生命医学をハックする】 (@biomedicalhacks) をお読みいただきありがとうございました。

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