急性胃腸炎は「おなかのかぜ」とも言われ、特に冬に流行します。この記事では、そんな胃腸炎について簡単に症状と経過を紹介し、家庭でできる対策について見ていきます。
この記事の内容
急性胃腸炎とは
急性胃腸炎とは、名前のとおり胃や腸に急性の炎症がおきた状態のことで、激しい下痢、腹痛、嘔吐、食欲不振などの症状が見られます。
健康な成人で胃腸炎が重篤となることはほとんどありませんが、病気にかかり衰弱している人や年少または高齢の方では、脱水や電解質のバランスの不具合が起こり、入院治療が必要な状態になることもあります。
急性胃腸炎というのはいくつもの病気を合わせた総称で、その原因は大きく感染性のものと非感染性のものに分けられます。
感染性胃腸炎
食べ物などから細菌が腸に入り込むと、下痢などの症状が起こります。
また、ウイルスも感染性腸炎を起こし、例えば最も多いのがロタウイルスの感染による急性腸炎です (ロタウイルス: 子供の胃腸炎の原因【ワクチンによる予防接種もある】)。
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鼻かぜなどを引き起こすアデノウイルスによる急性胃腸炎もあります。
ノロウイルスによる急性胃腸炎は、症状が治まった後も1ヶ月近くは注意が必要です (詳しくはノロウイルス食中毒の症状と消毒・予防の注意点【1ヶ月は注意】非感染性胃腸炎をお読みください)。
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非感染性胃腸炎
感染以外の原因で起こる胃腸炎で、その割合は低いですが、例えば食物アレルギーによる腸炎や虚血性腸炎などがあります。
アルコールの飲みすぎによる物理化学的な刺激でも胃腸炎になることがあります。
急性胃腸炎の症状と経過
感染による急性胃腸炎では、下痢や嘔吐、発熱などのほか、かぜのような症状が出ることがあります。
症状だけでは、細菌性かウイルス性か区別するのは困難ですが、いずれも安静にして水分を補充し免疫力を高めれば1週間以内におさまります。
急性胃腸炎はうつる?うつらない?
急性胃腸炎は、かぜと同じようにうつる(感染する)病気の一つです。冬から春にかけて流行し、最近では特に春に多く認められます。
家族内、保育園、幼稚園、学校などで人から人へ感染を起こして流行するので、「おなかのかぜ」とも言われています。
家庭でできる急性胃腸炎の対策
急性胃腸炎の予防
急性胃腸炎の予防としては、食材や調理品に『菌をつけない、増やさない』ことが一番です。一般的には、菌は低温では増殖しにくいので、食品は冷蔵庫で保存するようにし、調理の前には手をよく洗うなど十分に気をつける必要があります。
下痢止めの服用は症状を長引かせるかもしれない
急性胃腸炎による下痢や嘔吐は、有害なものを排出しようという、体が持っている防衛反応です。
むやみに下痢止め薬などでこれらの症状を止めようとすると、症状を長引かせることがあるので、どうしても必要なときにとどめた方が賢明です。
下痢止めといっても、ビフィズス菌に代表される乳酸菌を主成分としている整腸剤(ビオフェルミンなど)は、病原菌を排除する働きがあるので症状を改善させることにつながります。
急性胃腸炎の食事・飲み物
腹痛や下痢がおさまらないうちに、おかゆなどの食事を始めるのはあまりよくないかもしれません (ただし、長期間の絶食は腸管への栄養が減ってしまうので避けなければなりません)。症状がなくなるまでは胃腸に負担のかからない電解質液だけを補給したほうが回復は早いです。
そこで市販のスポーツドリンク剤(ポカリスエットなど)か、人肌程度に温めた番茶や薄い紅茶などをとってください。
急性腸炎では何よりも脱水症状を防ぐことが最重要です。喉の渇きがおさまって、尿がきちんと出るならば、脱水には対処できています。それまでは水分の補給を充分に行うようにしてください。
元気が出てきて食事を再開する時には、繊維の多い野菜、果物、脂肪が多いもの、酸味の強いもの、辛いものは避けたほうがいいです。
また、腸管の水分の分泌を促進し下痢を増やしてしまうので、牛乳もしばらく避けたほうがいいです。
うつらないようにする方法
家庭の中に胃腸炎の方がいる場合には、それがうつらないようにすることが大事です。
吐いた物にもウイルスがいるので、触れると二次感染を起こす可能性があります。汚染された洋服は、単に洗剤で洗うだけではウイルスを完全には取り除けません。
吐いた物を片づけたり、汚染された洋服を洗濯する時には、ゴム手袋を着用の上で、塩素系の漂白剤を使用すればウイルスを除去することができます。
まとめ
最後に今回の内容をまとめます。
- 急性胃腸炎には感染性のものと悲感染性のものがある
- 脱水症状の予防が最も重要
- ウイルスによる2次感染に注意が必要
今日も【医学・生命科学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。