「頓服」や「食間」として薬を処方されることもありますね。でも具体的にどのような飲み方なのかちょっと分かりにくいです。
この記事では、薬の効き方と飲み方について、よくある質問に答えます。
この記事の内容
薬が効く仕組み
薬は吸収されてから働く
飲んだ薬、例えば胃薬は、胃の粘膜の傷んだところにくっついて効くのではありません。
もちろん直接くっついて作用する薬もありますが、多くの薬はそうではありません。
薬は、胃や腸で溶けてバラバラになった後、腸から栄養と同じように体内に吸収されて血液の中に入ります。
効き目の成分は全身をめぐって、目標の場所で働くということになります。
薬の効き方は大きく分けて2つあります。病気の元になる細菌などの原因を直接やっつけるタイプと、人間の体が本来持っている機能をうまく利用して症状を改善して治すタイプです。
薬を何回か飲むのは意味がある
1回だけ薬を飲んで症状が治まれば無理に続ける必要はありません。痛み止めなどはそのような使い方をします。
症状がある時に飲むという方法を頓服(とんぷく)といいます。
しかし多くの薬は1回飲んで終わりということではなく、間を空けて何回か飲み続けます。1回でまとめてたくさん飲んではダメなのでしょうか?
薬を飲むと、腸から吸収された薬は血液中に入り血液中の濃度が上がり始め、ピークに達した後、成分が分解されたり排出されたりして血液中の濃度は下がります。
薬は、効き目の成分が一定の量・一定の時間、血液中にあってはじめて効果を発揮します。
その濃度に達していないと薬の効き目が発揮できません。そのため、時間が経って血液中の濃度が下がってくる頃に、次のくすりを飲んで濃度を上げる、ということが大事というわけです。
1度にたくさん飲むのではなく、時間を開けて飲むのは適切な濃度をコントロールするためです。
薬の分解と排出
薬がずっと体内にとどまったら困りますね。
そうならないよう、肝臓に運ばれ分解され、肝臓から分泌される胆汁に混じって便といっしょに排泄されたり、または腎臓をとおって尿として排泄されたりします。
母乳に混じって体外に出る薬もあるので、母乳をあげている方は薬について医師や薬剤師に相談してください。
薬の飲み方
薬を飲む時間
薬は必ずしも食後に飲むわけではなく、その薬の効き目がもっとも適切に発揮できるように飲み方が決められています。
飲み方の例としては、
食後(食事の約30分後)
食後に飲むと胃への負担が少なくなります。飲み忘れが比較的少ないという特徴もあります。
食前(食事の約30分前)や食間(食事と食事の間の空腹時で、目安は食後の約2~3時間後)
空腹の時の方が吸収されやすい薬は食前や食間に飲みます。例えば漢方薬は、空腹時に飲むと成分が吸収されやすいので、食前か食間が指定されることが多いです。
食間を「食事の最中」と誤解する方もいらっしゃいますが、食事と食事の間というのが正しい意味です。
就寝前(寝る前の約30分~1時間前)
寝る前に飲む薬で、便秘や睡眠に関するものがこのタイプです。
頓服(症状があるとき)
痛み止めのように、症状があるときだけ飲みます。
薬を飲む方法
錠剤やカプセル剤、粉薬などはコップ1杯の水またはぬるま湯で飲むのがいいです。
もし水が少ないと、薬が体内の粘膜にくっついて溶け出し、ダメージを与えることもあります。コップ1杯程度の量がオススメです。
お茶も、薬にあまり影響がないといわれているのでOKです。
逆に、薬の吸収や作用に影響を与える飲み物があるので、飲み物なら何でもよい、というわけではありません。
例えば牛乳はカルシウムが多く、吸収が遅くなったり効果が弱まる薬があります。
多くのジュースは酸性であり、薬の吸収が遅くなったり効果が弱まることもあります。逆にグレープフルーツジュースは、高血圧の薬などの効果を強めてしまいます。
コーヒーや紅茶などはカフェインが入っているので、カフェインが配合されている薬と一緒に飲むと眠れなくなる可能性があります。
食事をしなかった時の薬は
食事ができなかった場合でも、一定時間ごとに飲むくすりの場合は飲むべきです。
一方で、糖尿病の薬のように食事による血糖値を下げる薬は、食事をしなかったときは飲んではいけません。
もし飲み忘れた時の対応についても、医師や薬剤師に聞いておきましょう。
薬を飲み忘れた場合の対応
飲み忘れもたまにはあると思います。
原則として、気がついたときにすぐに飲んでいただいていいのですが、次のくすりを飲む時間が近づいていたら薬は飲まずに、次のタイミングからきちんと飲めばOKです。
ただ、その場合も2回分まとめて飲んではいけません。薬の作用が強く出たり、副作用が起きやすくなったりしてしまいます。
薬を飲むのはあくまで1回分です。
まとめ
最後に今回の内容をまとめます。
- 薬は血液中に入って作用する
- 頓服・食前・食間の正しい意味を理解しておこう
- 飲むのはあくまで1回分、まとめて飲んではいけない
今日も【医学・生命科学・合成生物学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。