歯は老化で抜けることはありません。40代以上の方で、歯が抜ける最大の原因は歯周病です。つまり、歯周病をしっかり予防できれば年を取っても自分の歯で食事ができるのです。今回はその歯周病を予防する方法について、特に歯みがきを中心に紹介します。
この記事の内容
歯周病とは
40歳以上の人の歯を失う原因のトップが、歯周病 (ししゅうびょう)です。歯は1本でもなくなると噛み合わせに大きく影響し、さまざまな症状が出てきます。
よく噛めないため胃に負担がかかったり、噛まずに食べることで満腹感を感じにくくなり、生活習慣病につながったり。
歯周病はどのようにしておこるのでしょうか?
口の中には、約500種類の細菌がいます。歯みがきが不十分だったり糖分を取りすぎると、細菌がネバネバした物質を作り出して歯の表面にくっつきます。これは歯垢 (プラーク) と呼ばれていて、プラーク1ミリグラム中に約10億もの細菌がいます。
プラークはネバネバしているので、うがい程度では落ちません。長い期間放置すると硬くなり、歯石という物質に変化して、歯の表面にさらに密着します。
あまりに強く密着しているので、歯石は歯磨きでは取り除くことができません。
細菌がつくる毒素の影響で、歯茎に炎症がおこり、歯肉が赤くなったり腫れたりします。しかし、この段階では、ほとんどの場合症状はありません。
歯周病が進行すると、歯と歯肉の境目 (歯周ポケット) が広く深くなります。歯を支える土台である骨が溶けて歯がぐらつくようになり、抜歯をしなければいけないことになっていきます。
そのため、歯周病の一番の予防は歯石になる前の歯垢をきちんと取りのぞくことです。毎食後、歯と歯茎の間を丁寧に磨きましょう。
予防の基本はしっかりした歯みがきと定期的な検診
歯周病は高齢者に多いと思われがちですが、若い人にも多く見られる病気です。30才で8割、50才で9割の方が、本人が気がついていなくても歯周病 (の初期) にいます。
他の病気と同じく、歯周病も早期発見・早期治療が大切です。
初期の歯周病はほとんど症状がありませんが、少なくとも半年に一度は歯医者さんで定期検診を受けるといいでしょう (余談ですが歯科検診の雑学 【CやCOの意味】という記事も書いています)
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歯石は歯みがきではとることができませんが、歯医者さんでスケーラーという道具を使って取ることが出来ます。また、正しい歯みがきの方法についても教えてもらえるでしょう。
例えば、歯ブラシについては
1) 毛足はストレートで毛束は 3~4 列ぐらいで清掃しやすく、通気性のよいもの
2) 歯ブラシの硬さは普通かやや硬めを。ただし歯ぐきに炎症がある場合は柔かめのもの
3) 歯ブラシは、エンピツを持つように持つ
歯みがきの方法としては、
1) 歯そのものではなく、歯と歯茎の間を磨く
2) ブラシは大きくこするのではなく、1-2 mm程度で振るわせる (ほとんど音は出ない)
3) 1ヶ月に1本を目安に歯ブラシを交換する
などがよくある歯医者さんでの歯みがき指導です。
最近では、スマホと電動歯ブラシを使ってお子さんでも楽しく歯みがきできるようなプレイブラッシュなどのツールもあります。賢く使っていきたいですね。
歯周病に有効な歯磨き粉
歯みがきのときに歯磨き粉を必ずしも使う必要はありませんが、もし使うのであれば歯周病に有効な成分が入っているものを選びたいですね。
ここではそんな歯磨き粉を薬の成分をもとに厳選しました。
アセス
アセスはまた歯磨き粉で唯一医薬品に認定されていて、歯周病に高い効果が見込めます。
具体的には、カミツレという殺菌成分で歯周病の原因菌を殺菌し、ラタニアという止血、収れん成分によって歯茎をひきしめ、ミルラという抗炎症成分で歯茎の腫れをとります。
少しだけ刺激と辛みがあり、最初はやや違和感がありますが慣れると爽快感があります。
システマSP-Tジェル
システマSP-Tジェルはイプシロン‐アミノカプロンという抗炎症成分が歯茎の腫れを抑え、イソプロピルメチルフェノールという殺菌成分が歯周病の原因菌を殺菌する効果があります。
粘度が高いジェルタイプで、歯茎の中に殺菌、抗炎症成分が浸透して、比較的短い時間で割と早く効果が期待できます。
酢酸トコフェノールという血流を促進する成分も入っていて、歯茎を活性化し出血を減らす効果があります。
コンクールジェルコートF
コンクールジェルコートFは、もともと歯医者さんで販売されている歯磨き粉でした。ネット通販の時代になって歯医者さんでなくても買えるようになりましたが、今でも歯医者さんからは根強い任期があります。
塩酸クロルヘキシジンという殺菌成分によって歯周病の原因菌を殺菌し、β‐グリチルレチレン酸という抗炎症成分で歯茎の炎症を抑えています。
商品名のFは、フッ素を配合しているという意味で、虫歯を予防する効果があるフッ素を歯の表面にとどめておけるというおまけ付きの歯磨き粉です。
歯周病を防ぐ生活習慣
生活習慣も、歯周病に直結するものがあります。
まずは禁煙です。タバコの煙の中には、数多くの有害物質が入っていて、例えばタールは歯に付着し、そこにプラークが付着しやすくなります。
また、一酸化炭素やニコチンは、病原菌に対する抵抗力を低下させ、傷口を治りにくくするため、歯周病を悪化させてしまいます。禁煙が必要なのはこのような理由です。
他にも、肥満防止のためによく噛むこと、繊維の多い野菜やビタミンA、C、D が豊富な食べ物をとることなども重要です。
まとめ
最後に今回の内容をまとめます。
- 成人が歯を失う最大の原因は歯周病である
- 歯周病の予防には正しい歯みがき
- 有効成分入りの歯みがき粉も賢く使う
今日も【医学・生命科学・合成生物学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。