アクリルアミドゲルからタンパク質を回収する方法 【SDS-PAGE後もOK】
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【生命医学をハックする】運営者 (@biomedicalhacks)。生命科学研究者、医師・医学博士。プロフィールはこちら

タンパク質の電気泳動はSDS-PAGEという方法で行われることが多いですが、そこから目的のバンドを回収できることはあまり知られていません。

そこで、この記事ではタンパク質のバンドを回収する簡単な方法を紹介します。

タンパク回収の大きな流れと注意点

SDS-PAGEで目的タンパク質のバンドが確認できればそのタンパク質をゲルから回収することができます。

タンパク質を精製する方法にはタンパク質バンドを切り出す方法と調整用電気泳動装置を使う方法の二つ大きくあります。

ここでは、特別な機械を使わずにできるタンパク質バンドを切り出す方法を紹介します。

ただし、SDS-PAGEで単一なバンドに見えていても複数のタンパク質がそこにある可能性があるため、多数のタンパク質が存在するような粗抽出液などに対して行うべきではありません

また、ゲルから回収したタンパク質の純度はゲル等電点電気泳動などで確認すべきです。

生理活性を持っているタンパク質を精製する場合には、 SDS によって生理活性が失活するのか、あるいは精製後の再生が可能なのかどうかをあらかじめ検討しておかなければいけないことにも注意が必要です。

抽出方法

1. タンパク質サンプルを、SDS-PAGEなどで電気泳動。ゲルとしては、できるだけ低濃度のゲルで目的タンパク質がゲル全長の半分以上泳動できる程度のものを使うといい。

2. CBB染色をした後のゲルをガラス板に載せ、目的のタンパク質バンドをメスやカミソリで切り出す (幅1 cm, 高さ2 mm程度)。

タンパクの電気泳動やCBB染色についてはこちらでまとめています。

関連記事SDS-PAGEの原理とプロトコル 【その他のタンパク泳動方法も】

3. ピンセットを使ってゲルの断片をエッペンドルフチューブに移す

4. 200 ulの抽出バッファーを加えエッペン用ホモジナイザーでゲルをできるだけ細かく砕く。

参考抽出バッファーの作り方
SDS 1g, 1M Tris-HCl (pH 8.0) 2 mLにMilliQを加え、100 mLにする。
最終濃度はそれぞれ1%, 20 mM。

もしホモジナイザーがなければスパーテルやエッペンドルフ用プラスチックペスルでも可能。


5. さらに20 ulの抽出バッファーを加え室温で一晩強く振盪。抽出バッファーはゲル容積の最低5倍は必要。

ゲル中のタンパク質はCBBと結合した状態で溶出してくるので、バッファーがだんだん青くなってくるのに対し、ゲル断片はCBBが抜けて透明になってくる

6. スピンカラムにゲルと抽出液を移し、1500 rpmで15分遠心。

7. ゲルにCBBが残っている場合は、100 ulの抽出バッファーを加えて再度一晩振盪する。

8. 遠心濾過された液を、遠心濃縮機を使って250 ul以下に濃縮する

9. 4倍量 (約 1mL) の氷冷したアセトンを加えて-80℃で1時間以上放置した後、15000 rpm で15分間遠心。

この操作で、タンパク質は沈殿し SDS とTris-HClは上清に残る。

10.上清を静かに吸い、タンパク沈殿を乾燥させる。あまり強く乾燥させると再溶解が困難になってしまうので、アセトンの匂いがなくなるくらいまで乾燥させればいい。

11. この沈殿を少量の0.1% SDS に溶解させる。アセトン沈殿したタンパク質は通常のバッファーだと溶けにくいので、0.1% SDSや8M 尿素などに溶解して適当に希釈して使う。

必要であれば器具などから混入した汚れを逆相カラムなどで取り除くこともできる。

関連サイト・図書

この記事に関連した内容を紹介しているサイトや本はこちらです。

SDS-PAGEの原理とプロトコル 【その他のタンパク泳動方法も】

まとめ

最後に今回の内容をまとめます。

  • SDS-PAGE後のゲルから目的のタンパクを抽出できる
  • タンパクの乾燥のしすぎに注意
  • 混入した汚れを取り除くこともできる

今日も【医学・生命科学・合成生物学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。

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