尿酸値が高い状態が起こると、ある日突然痛風発作が起こります。
この記事では、痛風と向き合う方法についてまとめていきます。
この記事の内容
高尿酸値は痛風発作につながる
尿酸が高い状態 (高尿酸血症) が続くといろいろな生活習慣病が合併しやすくなります。適切な治療を受けて尿酸値を下げることが大切です。
高尿酸血症が続いて痛みの発作が起こるのが痛風です。 痛風発作の痛みは強烈で、ペンチでつねられたような痛みと表現されることもあります。
なぜ痛風が起きるのかというと、まず血液中に溶けきれなくなった尿酸がかたまり(結晶化し)、関節軟骨などについて溜まっていきます。
そしてある日突然尿酸の結晶が剥がれ落ち、これが免疫を担当する白血球に異物と認識されて攻撃されるときに、白血球から痛みや腫れの原因になる炎症物質が出されることで症状が起こります。
手足の関節、とくに足の親指の関節に症状が出ることが多く、痛みや赤みを帯びた関節の腫れなどの症状が1週間前後続きます。
痛風発作の痛みを抑える方法
痛風発作の応急処置
痛風発作が起こり、痛みが強くて病院を受診できない場合は、氷を入れたポリ袋などで冷やすことで痛みが多少和らぎます。
特に、痛い場所を少し高い位置にして安静にするといいでしょう。
応急処置で痛みが和らいだら、すぐに医療機関を受診してください。きつい靴などは痛いので、ゆったりとした履物をはくといいでしょう。
痛風発作を抑える薬
痛風発作が起こった後は、できるだけ早く薬で痛みを抑えることが大切です。
基本的には非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDS) と呼ばれるグループの薬が使われ、その代表はコルヒチンです。
コルヒチンには、 痛風発作を起こす白血球の働きを抑えて痛風発作を和らげる作用があります。
またコルヒチンは痛風発作が起こるのを防ぐという作用もあります。
具体的には、痛風発作が起こる前には足の指がピリピリするとかムズムズするなどの前触れがある場合があり、この時にコルヒチンを服用します。
痛風が進行すると合併症が起こることもある
痛風発作が繰り返し起こっている状態を放置すると、痛風発作が起こる間隔が短くなったり治りにくくなりし、さらに進行すると慢性期に入ってしまいます。
痛風の合併症もいくつかあります。
痛風結節は、関節の周りや皮膚の下に尿酸結晶がたまって、こぶのような状態を作ったものです。最初の痛風発作がおきてからおよそ10年かけてできていきます。
一昔前、まだ尿酸を下げる薬がなかった頃は、およそ半数の患者さんに痛風結節ができていて、その結果として関節が変形してしまいます。
尿酸の結晶は腎臓にたまることもあります。その結果、腎臓の機能が障害されたり、尿の通り道 (尿管) が傷ついて激しい痛みが起こることもあります (尿路結石)。
また、尿酸はメタボリックシンドロームと関係が深いので、痛風になる方は高血圧・糖尿病・脂質異常症といった異常もあることが多いです。
これらの生活習慣病で動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳卒中などの命に関わる病気を発症する危険性が高くなってしまいます。
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合併症の予防には生活習慣の改善が大切です。
尿酸値を下げる方法
痛風の治療では尿酸値を下げることが大切です。
尿酸はそもそも体の中でプリン体を使った後の老廃物として出てくるのでした。普段は主に尿に溶かして体外に出していますが、できる尿酸の量が増えたり、体の外に出ていく尿酸量が減った時に尿酸値が上がっていきます。
そのため、尿酸値を下げる薬は尿酸の生成を抑えるタイプ (アロプリノールなど) と、尿酸を体外に排出しやすくするタイプ (プロベネシド) の大きく2種類があります。
尿酸値の治療は長期間かかる
薬によって尿酸値が急に下がると、尿酸の結晶が剥がれ落ち痛風発作が起きてしまうことがあります。
そのため、痛風発作が起こりにくくするために尿酸値をゆっくりと6 mg/dlを目標にして下げていく必要があります。
尿酸値の薬が長期間に渡るのはこのためです。処方された薬をきちんと服用し、生活習慣の改善を続けることが大切です。
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まとめ
最後に今回の内容をまとめます。
- 痛風発作はまず冷やして高くする
- 痛風を放置するといろいろな合併症になる
- 尿酸値を下げるには長い期間がかかる
今日も【生命医学をハックする】 (@biomedicalhacks) をお読みいただきありがとうございました。