匂いを識別する人工知能が開発される

人工知能 (AI) は匂いの存在を検知することができ、それだけではなくアンモニアや一酸化炭素などの匂いを識別することもできるという研究成果がNature Machine Intelligence誌に報告されました。

原題は「Rapid online learning and robust recall in a neuromorphic olfactory circuit」です。

研究の概略

ニューヨークにあるコーネル大学のThomas Cleland氏らと、テクノロジ企業Intelは、匂いを処理する脳の領域である嗅球(MOB)をベースにしたAIを開発しました。

哺乳類のMOBには、2種類の重要な神経 (ニューロン) が存在します。1つは、特定の匂いと同定されない場合に活性化される僧帽細胞、もう1つは特殊化した匂いを検出する顆粒細胞です。今回作られたAIはこの2種類のニューロンを模倣しています。

研究者らはAIを訓練し、アンモニアや一酸化炭素の匂いを含む10種類の匂いを検知させました。具体的には、データを入力するとAIは化学物質に対するセンサーの反応に基づいて匂いの存在を検出するように学習していて、そのデータのパターンに基づいて匂いを特定します。この時、AIは人間の脳の電気的活動のスパイクに似た活動のスパイクを持つのです。

学習が終わった後、研究者たちは、まだ訓練されていない匂いを嗅ぎ分けるAIの能力をテストしました。AIは、8つの匂いについてはほぼ100%、残りの二つについては約90%の正解率を達成しました

嗅覚はまだまだ未解明なところも多いですが、このアルゴリズムは、人間の鼻の中でどのように動作するのか、何らかの手がかりになるかもしれません。

関連サイト・図書

この記事に関連した内容を紹介しているサイトや本はこちらです。

Rapid online learning and robust recall in a neuromorphic olfactory circuit

今日も【生命医学をハックする】 (@biomedicalhacks) をお読みいただきありがとうございました。