【高校生物の物語】転写・翻訳とセントラルドグマ

生命活動を実際に行っているのは、主にタンパク質なので、DNAの遺伝情報を使ってタンパク質を作らないといけません。

この記事では、DNAからタンパク質になるまでの情報の流れについて解説しました。

DNAは二重らせん構造をしている

DNAはヌクレオチドがたくさんつながったものでした。

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もう少し見てみると、ヌクレオチドが結合した鎖が2本向かい合わせにしかもらせん状に並んでいます。この構造を、二重らせん構造といいます。

ヌクレオチドに含まれている塩基どうしが水素結合し、2本の鎖を互いにつなぎ合わせています。

どの塩基が結合するかには規則性があり、アデニン(A)とチミン(T)が、グアニン(G)とシトシン(C)が結合するのです。

これは1953年にワトソンとクリックによって解明され、ワトソンとクリックは1962年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

RNA: 設計図のコピー

二重らせん構造のDNAの情報をどのように使ってタンパク質を合成しているのでしょうか?

DNAは核の中にありますが、タンパク質を合成する工場は細胞質中のリボソームでした。

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つまり、核の中で管理されている情報をタンパク質を合成する工場であるリボソームに伝える必要があります。

最初にやることは、設計図 (DNA) の中から、今必要な部分をコピーして、このコピーをリボソームまで持っていくことです。

このコピーしたものに相当するのがRNA です。

RNAもDNAと同じく糖とリン酸と塩基からできたヌクレオチドが結合したものですが、糖の種類がDNAの場合とは少し違います。

DNAは、デオキシリボースという糖をもつ 核酸であり、正式には デオキシリボ核酸 といいます。
それに対して、RNAはリボースという糖をもつ核酸なので リボ核酸 といいます。

2′ (プライム) とかかれたところを見てみると、DNAの場合はHがついているのに対して、RNAではOHになっています。

DNAに含まれる塩基はアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4種類でしたが、 RNAにはチミン(T)がなくその代わりにウラシル(U)という別の塩基が含まれています

転写:DNAからRNAへ

どのようにしてDNAの情報をRNAにするのでしょうか?

DNAは2本の鎖でできていますが、まずこの2本の鎖をほどきます。

次に、ほどけた1本の鎖に向かい合わせに、RNAのヌクレオチドが並んでいきます。 DNAの塩基がアデニン(A)であればRNAのヌクレオチドはウラシル(U)が、グアニン(G)にはシトシン(C)が、シトシン(C)にはグアニン(G)が、チミン(T)にはアデニン(A)がそれぞれ結合します。

このように並んだヌクレオチドどうしが結合してRNAができるのですが、このRNAを特にメッセンジャーRNA (mRNA)といいます。

DNAの情報を工場に伝えるRNAという意味です。

このDNAの情報をRNAに写し取る過程を転写 (transcription) といいます。

翻訳:RNAからタンパクへ

転写は核の中で行なわれ、できたmRNAは核内から細胞質に出て、タンパク質合成工場であるリボソームにやってきます。

リボソームの周りには、アミノ酸を運ぶ運搬 RNA( transfer RNA, tRNA)という、また別のRNAがあります。

https://www.khanacademy.org/science/biology/gene-expression-central-dogma/translation-polypeptides/a/the-stages-of-translation

tRNAには、mRNAの3つの塩基に応じてそれぞれ特定のアミノ酸が結合しています

mRNAの3つの塩基に相補的な塩基をもったtRNAが、アミノ酸をリボソームに運んできます。

最初の暗号を読み終えると、リボソームがmRNAの上を動いて次の暗号を読み、そのたびにtRNAが特定のmRNAと結合するアミノ酸を運んできます。

このようにして運ばれてきたアミノ酸どうしが結合してタンパク質ができあがるのです。

mRNAの情報をもとにタンパク質がつくられることを翻訳 (translation)といいます。

とても複雑なしくみのように見えますが、体中の細胞では毎日この反応が行なわれているのです。

遺伝暗号表

mRNAの3つの塩基がどのような塩基のときに、どのようなアミノ酸が運ばれてくるのかの対応関係は決まっていて、それを遺伝暗号表といいます。

https://tekibo.net/biology-77/

この表は、左端が1番目の塩基、上の段が2番目の塩基、右端が3番目の塩基を表しています

たとえば、mRNAの塩基がCUAの場合を読んでみることにしましょう。

1番目の塩基がC、2番目の塩基がU、3番目の塩基がAなので、その交点を読みます。  するとロイシンとなっていますね。すなわち、伝令RNAがCUAであれば最終的に運ばれてくるのはロイシンというアミノ酸だということです。

セントラルドグマ

このようにDNAの情報はRNAにコピーされ、その設計図情報をもとにタンパク質が作られています。

この一方向の流れをセントラルドグマといい、長らく生物学の普遍の真理とみなされてきました。

わかりやすい日本語の動画がYouTubeにあったので合わせてご紹介します。

その後の研究で必ずしもこの流れに従うとは限らないことも分かってきましたので、それについては別の記事でまとめます。

関連サイト・図書

この記事に関連した内容を紹介しているサイトや本はこちらです。

【高校生物の物語】細胞内小器官:細胞の中には何があるのか

【高校生物の物語】遺伝子、ゲノム、DNAの違い

BioScience

Khan Academy

まとめ

最後に今回の内容をまとめます。

  • 動物の動きの追跡は深層学習を使ったものへ移行
  • 複数の動物がいても区別できる
  • 動きの意味を見出そうする動きもある

今日も【医学・生命科学・合成生物学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。

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