日本電気 (NEC) は、がん免疫療法の向上を目指す国際コンソーシアムTESLA(Tumor neoantigEn SeLection Alliance)に日本企業として初めて参加すると発表した。
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ネオアンチゲンとは
がんは正常な細胞に起こる遺伝子の突然変異の積み重ねの結果、細胞が自分勝手に増殖をし続けてしまう病気だが、遺伝子変異の結果として新たな抗原が作られることがある。そのような新生抗原 (ネオアンチゲン) は正常細胞にはないため、これを認識するように免疫細胞をトレーニングできればがんだけを殺す治療法につながる可能性がある。
ネオアンチゲンは正常な細胞には発現せず、がん細胞のみにみられ、その多くは患者ごとに異なる。最先端の治療法である個別化ネオアンチゲン・ワクチンは、患者ごとのがんに合わせて作製されるため、正常細胞への副作用のリスクを低減しながら、患者自身の免疫システムを活性化させてがん細胞を攻撃することが期待される。
国際ネオアンチゲン探索組織TESLA
TESLA (Tumor Neoantigen Selection Alliance)というのは、国際的なバイオインフォマティクス(生命情報科学)グループで、学界や非営利団体だけでなく産業界からも35以上の主要なネオアンチゲン研究グループの科学者が参加している。DNAおよびRNAにコードされているネオアンチゲンのうち、どれが効率よく免疫系に認識され免疫応答を刺激するのかを予測するアルゴリズムの開発を共通目的として2016年秋に設立された。
NECのAIシステムでネオアンチゲンの謎を解き明かせるか
NECのネオアンチゲン予測システムが評価されて日本企業として初参加することになったとのこと。NECのネオアンチゲン予測システムは、NECの最先端AI技術群であるNEC the WISEを活用していて、患者ごとに特異的にネオアンチゲンを選定できるとのこと。
NECが開発したMHC結合能予測技術を中心にネオアンチゲン候補を総合分析し、各患者が持つ多数のネオアンチゲンの候補を順位付けする。
「NECは、TESLAへの参加を通じて世界の主要な研究組織と協業することができます。そして、この新たな治療法によるがん患者さんの治療向上を目指していきます。NECは、安全・安心・効率・公平という社会価値を創造する社会ソリューション事業をグローバルに推進しており、先進ICTや知見を融合することで、今後も次世代のヘルステック事業に取り組んでいきます。」とのコメントを発表している