300万年前のマウス化石から古代の赤色色素を初めて検出
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貴重な化石標本を無傷のまま残す新しい技術を使って、古代のマウスの化石の中に赤い髪の毛を初めて見つけることができた。「Pheomelanin pigment remnants mapped in fossils of an extinct mammal」という原題でNature Communications誌に発表された。

絶滅動物の色の推定は困難だった

化石化した動物の色は完全な推測である。化石に羽や毛皮などが含まれていることがまれにあっても、そのような柔らかい組織の元の色合いは無くなってしまっている。

科学者たちはさまざまな技術を使って、恐竜の羽や卵などの化石の色についてのヒントを集めてきた。

約10年前には、高エネルギーのシンクロトロンX線を使って、皮膚や髪からユーメラニンと呼ばれる黒系の色素については見出すことができた。

しかし、その関連色素でピンクや赤の色合いになるフェオメラニンと呼ばれる色素の同定は困難だった

赤系色素フェオメラニンの検出

2016年に発表された研究で、研究者らは現代の羽毛の色素に含まれるさまざまな微量金属を注意深く調べ、ユーメラニンは銅を含み、フェオメラニンは硫黄と亜鉛を含むことが発見されていた。

今回の論文では、これらの金属をたどることで、化石から赤みを帯びた色素の兆候を見つけることができるのではないかと考えた。

科学者たちは、軟組織と髪の毛がまだ見える、例外的に良好な状態に保たれていた300万年前に今のドイツにいたApodemus atavusという絶滅マウスの2つの化石を分析した。予想通り、赤色色素フェオメラニンの特徴である硫黄と亜鉛の特徴的な重なりを見つけることができた。

この写真の明るい黄色のところが、絶滅マウスから見つかったフェオメラニン色素である。

Source: https://www.nature.com/articles/s41467-019-10087-2

 

この研究の意義と今後の展望

これまでの分析化学法では、化石から小さなサンプルを採取する必要があった。

今回開発された方法は、非破壊的に化石全体を分析するためのとても洗練されたものである。

研究者らはフェオメラニンがはるかに古い化石でも発見されることを確信している。過去の文献から得られたヒントをもとに、今は3000万年前の古代オタマジャクシに注目しているそうだ。

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