65歳以上の3割が糖尿病! 糖尿病の基礎知識【分類と症状】
この記事のタイトルとURLをコピーする

生活習慣病のうち、高血圧や高脂血症については別の記事で紹介しました。

高血圧や高脂血症以外に頻度が高い病気として糖尿病があります。

65歳以上のおよそ3割が糖尿病であり、日本には糖尿病の患者さんは予備軍を含めると2000万人もいます。糖尿病の基礎知識を何回かに分けて紹介します。
今回は原因と分類、そして検査法についてみていきます。

糖尿病は血液中の血糖が高くなる病気

糖尿病は体内の血糖値が異常に高くなる病気です。

パン、めん類、米などの食品に含まれる炭水化物は、さまざまな種類の単純な糖類が長くつながってできています。

糖類には多くの種類がありますが、消化管の中でさまざまな酵素の作用を受けてから体に吸収され、最終的にブドウ糖という状態になって血液中を流れ、全身の細胞に取り込まれます。

そのため、血糖の「糖」とは、ブドウ糖のことを意味します。

インスリン

血糖が上昇した状態は体にとっていいものではありません。

そのため、膵臓(すいぞう)という臓器から分泌されるホルモン「インスリン」で、体は血液中のブドウ糖の量をコントロールしています。

インスリンには、血液中のブドウ糖を細胞へ移動させる働きがあり、細胞に取り込まれたブドウ糖は、エネルギーに変換されてすぐに消費されるか、必要なときが来るまで脂肪やグリコーゲンとして蓄えられます。

血糖が低くなる状態、つまり低血糖は、命の危険に直接結びつくので、体は血糖値を上げるホルモンとしてグルカゴンなどいろいろなものを色々用意しています。

しかし血糖を下げるホルモンは、インスリン1つしかありません。今の時代のようにいつでも食べることができるようになったのはごく最近のことであり、長い進化の歴史は飢えとの戦いでもありました。そのため、ヒトも鳥も魚も、血糖を上げるホルモンは複数あるのに対して、下げるのはインスリンだけです。

血糖値は食後に上昇し、それに反応してインスリンが分泌されることで、食後約2時間以内に食事前の値に戻ります。通常の血糖値の変動幅は狭く、健康な人で約70~110 mg/dL程度です。

1型糖尿病と2型糖尿病

糖尿病は、血糖を下げるホルモンであるインスリンが体内で十分につくられない場合、または体がインスリンに正常に反応しなくなる場合におこります。それぞれ、1型糖尿病2型糖尿病といいます。

1型糖尿病

1型糖尿病は、インスリンを十分に作ることが出来ない状態です。体の免疫系が膵臓のインスリン産生細胞 (ベータ細胞) を攻撃し、ほとんどの細胞が破壊されて回復不能になっています。糖尿病の患者さんのうち、約10人に1人が1型です。

1型糖尿病の発症は多くの場合で若年であり、30歳前に発症する方が多いです。

2型糖尿病

2型糖尿病は、膵臓でインスリンはつくられています。しかし、体がインスリンの作用に抵抗性を示し、血糖を十分に下げることができないというものです。

通常は30歳以上の人が発症し、年齢が高くなるにつれて多くなります。65歳以上の約27%の人が2型糖尿病にかかっています。

2型糖尿病は遺伝する傾向にあります。

肥満は2型糖尿病発症の主な危険因子であり、この病気の人の80~90%が過体重もしくは肥満です。

これは肥満によって インスリン抵抗性が引き起こされるためで、肥満の人は正常な血糖値を維持するのに大量の インスリンが必要になります。

糖尿病の症状

1型糖尿病も2型糖尿病も症状はとても似ています。

初期には、高血糖の影響により、のどの渇きが強くなる、尿の量が増加する、空腹感が強くなるなどがあります。

血糖値が160~180mg/dLを超えると、尿中にブドウ糖が出てきます。これが糖尿病の名前の由来です。

長期的な症状については別の記事でとりあげようと思います。

糖尿病の診断

血液中のブドウ糖の値(血糖値)が異常に高ければ糖尿病と診断されます。血糖は食事の影響を受けるので、通常は1晩絶食したあとに (朝食を抜いたあとに) 採血します。

血中タンパク質のヘモグロビンA1C(糖化ヘモグロビン)が測定される場合もあります。
ヘモグロビンというのは、赤血球中の酸素を運搬する赤い物質です。

長期にわたって血糖値が高い状態が続くと、ブドウ糖がヘモグロビンに結合して糖化ヘモグロビンというものができます。ヘモグロビンA1Cの値(全ヘモグロビンのうちヘモグロビンA1Cが占める割合)は、ここ1-2ヶ月ほどの血糖値の傾向を反映しています

ヘモグロビンA1C値が6.5%以上であれば糖尿病、5.7~6.4%であればその予備軍です。

その他の血液検査としては、経口ブドウ糖負荷試験がありますが、これはとても大変な検査なのであまり行われていません。

糖尿病の治療

2型糖尿病の場合、まず第一に食生活の改善と適度な運動が必要です。

目標とする効果が見られなかった場合には、経口薬 (飲み薬) を服用することになります。
1型糖尿病の場合は、血糖を下げるインスリンが作られていないので、インスリンを注射で補うというのが基本の治療になります。

まとめ

最後に今回の内容をまとめます。

  • 糖尿病は予備軍も含めると日本に2000万人もいる
  • インスリンが作られない1型と、効きにくい2型がある
  • 血糖やヘモグロビンA1Cを採血で測定して診断される

今日も【医学生物学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。

クリックでこの記事をお気に入りに追加します (後でまとめて読めます)
この記事のタイトルとURLをコピーする
生命医学の知識や進歩を無料のニュースレターで

がんをはじめとする病気やよくある症状などの医学知識、再生医療などの生命科学研究は、研究手法が大きく前進したこととコンピューターの発達なども相まって、かつてないほどの勢いで知識の整備が進んでいます。

生命医学をハックするでは、主として医師や医学生命科学研究者ではない方や、未来を担う学生さんに向けた情報発信をしています。

2週間に1回のペースで、サイトの更新情報や、それらをまとめた解説記事をニュースレターとして発行しています。メールアドレスの登録は無料で、もちろんいつでも解除することができます。

サイト名の「ハックする」には、分かってきたことを駆使し、それを応用して、病気の治療や研究などにさらに活用していこうという意味があります。

生命医学について徐々に解き明かされてきた人類の英知を受け取ってみませんか?

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでも情報発信中

こちらの記事もいかがですか?
ブログランキング参加中 (クリックしていただけると励みになります)