糖尿病の注射治療薬の基本【種類と副作用】
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糖尿病には、血糖を下げるホルモンであるインスリンが作られない1型と、効きが悪くなる2型の2つの種類があります。

1型糖尿病の場合は、 そもそもインスリンが作られないので、インスリンを注射して血糖値を下げる必要があります。

2型糖尿病の人では、まず食事の改善と適度な運動が必要です。

それでも十分に血糖値が下がらない場合には、経口薬が必要で、ひどい場合にはインスリンも必要です。

今回はインスリン治療薬や、その他の注射薬について、その種類や副作用、なぜ効くのか、そして注射の注意点など、知っておきたい事をまとめました。

インスリン補充療法

1型糖尿病の方はインスリン療法が必要で、2型糖尿病でも多くの方が必要になります。

通常、インスリンは皮膚に注射します。インスリンは胃酸で壊されてしまうので、現在のところは飲み薬のインスリンはありません。経口薬や皮膚に塗るタイプなど、注射以外の新しい剤形が研究されている段階です。

インスリンは通常、腕や太もも、腹部などの皮下脂肪に注射します。とても針が細く、注射をしても痛みを感じることはほとんどありません

吸収の速さは、お腹→上腕→おしり→太ももの順になります。

インスリンペンは、インスリンを携帯して使う方にとって便利な器具で、特に自宅以外で注射が必要な人に有用です。外観は注射器というよりペンにずっと近いです。

出典:http://www.uemura-clinic.com/dmlecture/insulininj.htm

インスリンポンプを使う方法もあります。皮膚に刺したままにしている小さい針からインスリンを送り込むことができます。

出典:https://dm-net.co.jp/pumpfile/

3日に1度程度、注入セットなどを交換するだけで済み、1日数回の注射をする必要はありません
アメリカなど諸外国では、「インスリンポンプ療法」(CSII)は選択肢の1つとして広く知られていますが、日本ではまだ普及率も低いのが現状です。

インスリン製剤には3種類のタイプがある

インスリンには、作用が現れる速さと持続時間が違う3種類があります

超速効型インスリン(レギュラー インスリンなど)は、作用が早く現れ、作用持続時間が短いタイプです。
レギュラーインスリンは投与後2~4時間で最大の活性を示し、6~8時間持続します。
リスプロ、アスパルト、グルリジンというインスリンはいずれも特殊なタイプの超速効型レギュラー インスリンで、効果が現れるのが最も早く、約1時間で最大の活性を示し、3~5時間持続します。

超速効型インスリンは1日数回の注射が必要な患者さんに使われています。

中間型インスリン(neutral protamine Hagedorn[NPH]、neutral protamine lispro[NPL] インスリンなど)は1~3時間で効き始め、6~10時間後に最大の活性を示し、15~26時間持続するタイプです。
朝に注射して日中に必要なインスリンを入れたり、夕方に使って夜間のインスリンを供給する目的があります。

持効型インスリン(インスリングラルギン、デテミル、デグルデクなど)は、最初の数時間はほとんど作用がありませんが、20~36時間効果が持続するタイプです。

出典: http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/100/030/03.html

これらのうち、どのインスリンがその患者さんにとって最適なのかは、血糖値はどれだけ安定しているか、インスリン注射がどれくらいの頻度でできるか、日々の活動の幅、糖尿病についてどれだけ理解しているかなどを考慮して決められます。

最も簡単には、中間型インスリンを1日1回注射するものですが、これでは最低限の血糖コントロールしかできないため、これが最適な選択肢になることはあまり多くありません。

朝、1回目の注射に超速効型と中間型の2種類を組み合わせて使えば、より厳密な血糖値コントロールができます。夕食時または就寝時に、2回目の注射を行います。

最も厳密に血糖値をコントロールするためには、朝晩に持効型インスリンを注射し、日中にも超速効型インスリンを数回注射します。インスリン治療を受けているほとんどの人にとって、最良の方法と考えられています。。

インスリンは、室温で数カ月間安定なので、旅行等にも持っていくことができます。ただし、高温や低温に弱いので室温におかないといけません。

インスリン注射の副作用

次にインスリン注射で起こるかもしれない好ましくない反応について見ていきます。

インスリン抵抗性

長期間投与を続けると、 インスリンに効きにくくなる方がいらっしゃいます。

注射するインスリンは、正常の膵臓がつくるインスリンと完全に同一ではないので、免疫反応により注射インスリンに対する抗体ができるケースがあります。

現在使われるインスリン製剤ではこのような抗体発生率は低いですが、もし抗体ができるとインスリンの作用を妨げるため、たくさんのインスリンが必要になります。

インスリンに対するアレルギー反応

インスリン注射は皮膚や皮下組織に影響を与えることがあります。例えば、注射によって脂肪が蓄積する結果、こぶのように膨らんだり、逆に脂肪が破壊されくぼみができることはあります。

同じ箇所に注射を続けると、そこの脂肪が変化して固くなります (リポジストロフィー)。固くなると薬をうまく吸収できなくなるので、期待している効果が得にくくなります

そのため、注射する部位を、太もも・腹部・腕などとこまめに変えて打つのが重要です。

その他の注射用の糖尿病治療薬

インスリンは、最もよく使用されている注射薬ですが、他にも2種類の治療薬があります。この記事の最後にこれらを簡単に紹介します。

グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬

グルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬(GLP-1受容体作動薬)は、主に膵臓からのインスリン分泌を増やす作用があります。また、これらの薬には、胃から食べものが出ていくのを遅らせ、結果的に吸収が遅れるので血糖の増加も遅らせるという働きもあります。

血糖値に応じて作用するため、膵臓でインスリンをつくるβ細胞への負担が少なく、低血糖の可能性が低いという特徴があります。

本記事執筆時点では、経口薬はありませんが、アメリカでは経口薬が初めて承認されました。

アミリンアナログ

アミリンアナログは、「アミリン」という食後の血糖値の調節にかかわる膵臓のホルモンに似た作用をもつ薬剤です。

プラムリンタイド(pramlintide)は、本記事執筆の段階で利用できる唯一のアミリンアナログで、 グルカゴンというホルモンが分泌されるのを抑えます。
グルカゴンは血糖値を上昇させる作用があるので、プラムリンタイド(pramlintide)は血糖値を下げるのに役立ちます。

まとめ

最後に今回の内容をまとめます。

  • インスリン製剤には大きく3つのグループがある
  • インスリンは毎回打つ場所を変えるのが大事
  • インスリン以外の注射薬も開発されている

今日も【医学生物学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。

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