食生活が豊かになってくると、どこの国でも糖尿病やその予備軍の方が増えつづけます。
糖尿病とはどのような病気かということについては前の記事で書きました。
[getpost id=”1177″ title=”関連記事” target=”_blank”]食事と運動が糖尿病を予防する、あるいは発症を遅らせるということは、たくさんの糖尿病研究で明らかにされています。
今回は、糖尿病を予防することにもつながる食事療法・食生活についてまとめます。
この記事の内容
糖尿病予防・治療の基本は、食事療法
糖尿病治療の基本は、食事療法です。
食事療法が糖尿病に効果的なのはなぜでしょうか。
2型糖尿病はインスリンが効きにくくなって起こる病気です。
日本人を含むアジア系の人々は、インスリンを分泌する量がもともと欧米人に比べて少ないことが知られています。その状態で、欧米化した食生活をおくれば、増加した糖分の処理が追いつかず、血糖値がずっと高い状態になります。
さらにこの状態が続けば、膵臓のインスリンを作るベータ細胞にさらに負担をかけ、疲弊させてしまいます。
食事療法の基本は、カロリーを必要以上にとらないということです。バランスのとれた栄養を、1日の必要量のカロリーでとることで、膵臓の負担が軽くなります。
今の時点ではまだ糖尿病でない人にとっては、これは糖尿病の効果的な予防法でもあります。
特に糖尿病の方は、食品交換表を活用しながら1日の総エネルギーをきちんと守った、バランスのとれた食生活をおくってください。
それではより具体的な注意点を見ていきましょう。
糖尿病予防に特に効果的なのは糖質制限
「糖質」は欠かすことのできない栄養素で、主に体を動かすためのエネルギーとして使われます。
「糖質」という言葉は甘いものを連想させますが、実際には我々の主食であるごはんやパンなど、穀類に多く含まれています。
糖質の過剰摂取が続くと血液中のインスリンが常に多い状態になり、高インスリンの状態が続くと体のインスリンへの反応も鈍くなり(インスリン抵抗性)、糖尿病につながります。
糖質を制限するのが糖尿病の有効な治療法・予防法になります。
喫煙、多量飲酒はやめる
タバコは、インスリンの分泌や作用の低下を引き起こしてしまいます。
お酒についても、1gのアルコールは7kcalで、4kcalの糖質1gより高カロリーです。さらにおつまみにカロリーの高いものを食べがちです。
アルコールはほどほどの量で、おつまみには糖質を含まないものを選ぶのが大事です。
「ペットボトル症候群」に注意
若い方が陥りやすく注意が必要なのは「ペットボトル症候群」です。
血液中に含まれるブドウ糖はおよそ4~5gですが、ペットボトルにはその数倍 (20~30 g) もブドウ糖が含まれていて、飲むとすぐにほぼ全てのブドウ糖が吸収されてしまいます。
連日、急激なブドウ糖上昇が繰り返されていると、糖尿病を発症するようになってしまいます。水分は水かお茶にしましょう。
野菜から食べる
食べる順番も大事で、最初に野菜を食べると血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。
その次に、満腹感を得られやすい汁物、そしてタンパク質の肉・魚類。
ご飯を一番最後に食べれば、炭水化物の量が減らせます。
きつい糖質制限ダイエットをやめる
糖質の多いものを食べない「糖質制限ダイエット」をする方もいますが、ご飯などに含まれる炭水化物を完全に断つのは体にも負担がかかります。
1日の炭水化物摂取量をこれまでの半分程度に減らすだけの、ゆるめの糖質制限でも十分な予防効果があります。
食生活の改善と合わせて適度な運動を行う
この記事では食生活の改善についてまとめましたが、合わせて適度な運動を行うとその効果がさらに高まることが知られています。
運動については別の記事でまとめていますのでこちらも実施してさらに効果を高めましょう。
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まとめ
最後に今回の内容をまとめます。
- 日本人はインスリンが少ないので、欧米のような食事では糖尿病になりやすい
- 食品交換表を活用した食事管理が有効
- 野菜を一番最初に食べると血糖が上がりにくい
今日も【医学生物学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。