コレステロールが高いと何が危険なのかについて、以前記事を書きました。
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今回は、脂質異常症の方に向けた、食事の注意点についてまとめます。
コレステロールを減らすには、3つの戦略があります。
この記事の内容
コレステロールの多い食品を避ける
コレステロールの多い食品を取りすぎないように気をつける必要があります。具体的には以下の食べ物に気をつけましょう。
鶏卵: コレステロールの高い方にとっては、毎日1つは食べすぎです。週に3-4個を目安に
魚介類: いか/たこ/えびなどの甲殻類、うなぎ、そして魚の卵 (いくら、たらこなど) にはコレステロールが多く含まれます
肉類: 脂身の多い肉 (霜降り肉など)、レバーやベーコン
良質な脂肪酸をとる
コレステロールを上げてしまう可能性がある食品成分として脂肪酸があります。
脂肪酸は、その化学的な二重結合の数によって大きく3つに分類でき、二重結合がない飽和脂肪酸、二重結合が1つである一価不飽和脂肪酸、二重結合を2つ以上持つ多価不飽和脂肪酸に分けられます。
このうち、コレステロールを主に上げるのは飽和脂肪酸です。
飽和脂肪酸のとりすぎに注意
飽和脂肪酸は室温で固体の油です。例えばバター、クリーム、牛や豚の脂などです。これらを取りすぎると悪玉であるLDLコレステロールや中性脂肪が増えてしまいます。
特に洋菓子や菓子パンにはバターがたくさん使われているので要注意です。
不飽和脂肪酸はとった方がよい
不飽和脂肪酸は室温で液体であり、魚や植物の油に多いです。不飽和脂肪酸は人間の体の中では合成できないので食べ物からとる必要がある必須脂肪酸です。
一価不飽和脂肪酸の代表としてオレイン酸があり、オリーブオイルや菜種油、アーモンドなどのナッツ類に含まれます。
多価不飽和脂肪酸は、二重結合の位置によってn-3系多価不飽和脂肪酸とn-6系多価不飽和脂肪酸に分かれます。
n-3系は、LDL悪玉コレステロールを減らし、HDL善玉コレステロールを増やす働きがあります。善玉や悪玉の違いは別の記事に書きましたので合わせてご覧ください。
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n-3系にはEPA (エイコサペンタエン酸) やDHA (ドコサヘキサエン酸) があり、これらは青魚 (さんま、さばなど) に多く含まれています。
またn-3系にはα-リノレン酸があり、エゴマ油やサラダ油などに多いです。α-リノレン酸は体内でEPAやDHAに変化して、悪玉コレステロールを下げ、善玉コレステロールを上げてくれます。
他にも、生活習慣病の予防に役立つ様々な働きがあり、不整脈を予防したり、血液をさらさらにして動脈硬化を防ぐ力があることなどがわかってきています。
控えたほうがいいn-6系多価不飽和脂肪酸
一方、控えたほうがいい不飽和脂肪酸もあります。それがn-6系多価不飽和脂肪酸で、代表例としてリノール酸があります。
ごま油、コーン油、クルミなどに含まれていますが、取りすぎると善玉のHDLコレステロールも下げてしまいます。アレルギーなどの炎症とも関係しているので、適度な摂取が大切です。
平均的な日本人はすでに必須量の6倍ものn-6系多価不飽和脂肪酸を摂取しています。なるべくn-6系多価不飽和脂肪酸を減らし、不足しているn-3系を多くすることの重要性が指摘されています。
腸からのコレステロール吸収を抑えてくれる食品をとる
コレステロールの吸収を抑えてくれる食品もあります。水溶性食物繊維が多い以下の食品があります。
こんにゃく、海藻、豆類、イモ類、果物
これらは不足しがちなので積極的にとっていきましょう。
目指すは伝統的な日本食
1970年代以前の日本では植物性の食品(玄米、いも、果物、野菜、海藻など)と海産物(魚、貝)がたくさん食事に使われていました。
このような食品を習慣的にとることで、日本人は欧米人よりも心筋梗塞などが少なかったことが知られています。
現代の日本では、欧米と同じような食生活になりつつあり、それとともに日本人も心筋梗塞が増えていて、実際に癌についで日本人の死因の2位は心臓病によるものです。
このような理由で、一昔前の伝統的な和食が今見直されています。ただし、日本食は塩分をとりすぎることがあるので、減塩を心掛けることは必要です。
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それでもまだ高いときは薬物療法も
食事に気をつけても、まだ目標とする数値にならないとき、薬が処方されます。
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注意しないといけないのは、薬だけではコレステロールや中性脂肪は下がらないということです。この記事で紹介した適切な食事と組み合わせることで、初めて薬の効果も出てきます。
治療の基本は食事だということです。
まとめ
最後に今回の内容をまとめます。
- コレステロールが多い食品を避ける
- n-3系を中心とした良質な脂肪酸をとる
- 食物繊維はコレステロール吸収を抑えてくれる
今日も【生命科学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。