健康診断で毎回のように行われる血液検査。でも血液のことをよく知らないということは多いでしょう。
この記事では、血液の基本として、血液にはどんな成分があるのか、その役割は何かについて簡単にまとめました。
血液の量
血液は生命の維持にとても大事です。主な役割や、酸素や栄養の運搬、免疫、止血などがあります。
血液は体重のおよそ8%を占め、体重60kgの成人では4-5Lあります。全血液量の1/3を失うと生命に危険が及びます。
血液中の血球成分
全血液量のおよそ45%を占めるのは血球です。血球はさらに赤血球、白血球、血小板と大きくわかれていきます。
赤血球の役割
赤血球の主な役割は酸素を全身のすみずみまで運ぶことです。これは赤血球に含まれるヘモグロビンの働きによるものです。
血球成分の99%以上を占めているのは赤血球で、血液が赤く見えるのはこのヘモグロビンが赤色をしているためです。
また、全身で作られる二酸化炭素を肺に戻す役割も赤血球の担当です。
白血球の役割
白血球の役割は、体の中に侵入した異物から体を守ることです。
白っぽく見えることから白血球という名前がつきました。
白血球はさらに大きく顆粒球 (かりゅうきゅう)、単球、リンパ球の3つに大きく分かれ、様々な機能を持っています。特に関係が深いのが免疫ですので、【高校生物の物語】免疫の仕組みにまとめました。
血小板の役割
血小板の役割は止血です。
血管が傷つくと血小板が活性化し、血小板同士が凝集 (ぎょうしゅう、かたまること)して傷をふさぎ出血を止めます (一次止血)。
ここにさらに凝固因子と呼ばれるさまざまなものが集まり、いわゆる「かさぶた」を作っていきます ( 二次止血)。
血液中の血漿成分
血液中の45%は血球という細胞成分でした。残り55%は血漿 (けっしょう)という、やや黄色がかった液体成分です。
そのほとんどは水で、他に血を固めるのに必要な凝固因子 (フィブリノゲン) も含まれています。
血漿からフィブリノゲンを除いたものが血清 (けっせい) です。
採血した血液をそのまま放置した場合は血球とフィブリノゲンが固まった血餅 (けつべい) と、それ以外の血清に分かれます。
一方で血が固まらないように抗凝固剤というものを加えて遠心した場合、一番下に赤血球、その上にbuffy coatと呼ばれるふわふわで白い層 (白血球と血小板)、そしてその上に血漿が分離されます。
血清にはたくさんのタンパク質が含まれていますが、主にアルブミンとグロブリンという2つに分かれます。
血清タンパクの6割はアルブミンで、これはさまざまな物質の運搬に関わったり、浸透圧 (しんとうあつ) という水分バランスに関わる力を維持する役割があります。
グロブリンは、電気泳動という検査方法により、さらにα1分画、α2分画、β分画、γ分画に分けられます。
グロブリンの大部分を占めるのはγ分画にくるγ-グロブリンで、これは免疫を担当しています。
まとめ
最後に今回の内容をまとめます。
- 血液は体の中に4-5Lある
- 血液の45%は血球で、そのほとんどは赤血球
- 血液の残り55%の血漿にはさまざまなタンパク質などが溶けている
今日も【医学・生命科学・合成生物学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。