【高校生物の物語】いろいろな細胞の形と大きさ

生命活動を行う最小単位である細胞 (さいぼう)。私たちの体は、この細胞がたくさん集まってできています。

この記事では、細胞の形や大きさ、そして大きく2種類の細胞があることをまとめました。

いろいろな細胞の形と大きさ

一般的な細胞の場合

普通の細胞は肉眼では見えないくらい小さいです。1mmの1000分の1が1μm(マイクロメートル)という単位になりますが、普通の細胞は10 μm 〜 50 μm 程度の大きさで球形をしています。

その中に、遺伝情報を格納した核や、細胞活動に必要なエネルギーをつくるミトコンドリアなど、たくさんの細胞内小器官が入っています。

関連記事【高校生物の物語】細胞内小器官:細胞の中には何があるのか

卵細胞の形と大きさ

普通の細胞よりずっと大きい細胞としては 卵細胞 があります。

例えば、直径数 cmある卵の黄身の部分は、1つの卵細胞です。ダチョウの卵細胞は7cmくらいあるそうです。

ヒトの卵細胞はここまでは大きくないですが、0.1 mm 〜0.2 mmと通常の細胞よりも10倍くらい大きく、肉眼でも見える大きさです。

卵細胞が非常に大きいのは、赤ちゃんに必要な栄養分を細胞の中に蓄えているからです。

精子の形と大きさ

逆に精子は、できるだけ数多く作って卵細胞のところに泳いで行く必要があります。

そのため、小さく身軽になっています。

精子は、頭部 (Head)、中片部 (Mid)、尾部 (Tail)という3つの部分からなる特徴的な形をしています。

wikipediaより

尾部の部分はべん毛という長いしっぽの役割があり、全長は50 ~ 100 μmくらいになります。

このべん毛を動かして泳ぐのですが、そのエネルギーは中片部にあるミトコンドリアが作っています

頭部には核があり、中には父親側の 遺伝情報(設計図)が収められています

筋肉細胞の形と大きさ

筋肉も細胞の集まりからできています。筋肉を構成する細胞を、筋繊維といいます。

この筋繊維(筋肉細胞)は精子よりも細長く、数cmくらいの長さがあります。

同じ筋肉でも、腕や足といった、自分で動かすことができるタイプ (随意筋, ずいいきん) の筋肉を横紋筋 (おうもんきん) といいます。

自分の意志では動きをコントロールできない不随意筋 (ふずいいきん) でも、心臓の筋肉 (心筋) は例外に横紋筋です。

横紋筋は、顕微鏡で見た時に特徴的な縞模様 (横紋 おうもん) が見られるのが特徴です。

普通はひとつの細胞にひとつの核しかありませんが、横紋筋の場合はいくつもの細胞を融合し、1細胞の中に核がたくさんあるというのも、もう一つの特徴です。

一方で、胃や腸などの筋肉は横紋の模様がない筋肉で、 平滑筋 (へいかつきん) といいます。平滑筋は横紋筋とは違って1つの細胞に1つの核しかありません。

https://ganjoho.jp/child/cancer/rhabdomyosarcoma/index.html

神経細胞の形と大きさ

筋肉は数センチメートル程度ある長い細胞ですが、もっと長いのは神経細胞です。

神経細胞はこのように変わった形をしています。

http://www.tamagawa.ac.jp/teachers/aihara/kouzou.html

大きく、細胞の中心部である細胞体 (さいぼうたい)、 前の神経から刺激を受け取る樹状突起 (じゅじょうとっき)、 次の神経に刺激を渡す軸索 (じくさく) という3つの部分からできていますが、全体でひとつの細胞 です。

ちなみに、ヒトの神経細胞の中で最も長いのは座骨神経で、1つの細胞で1mくらいの長さがあります。

神経細胞 (ニューロン) は電気信号を使って情報をやりとりしているのですが、それについてはまた別の記事で紹介します。

血液細胞の形と大きさ

血液の中にも細胞があり、血球 (けっきゅう) と呼ばれています。たとえば白血球は、体の中に侵入してきた微生物と戦う働きがあります。

関連記事血液成分とその役割【血液の基本】

赤血球は酸素を運搬する細胞ですが、核がないというとても変わった特徴があります。

興味深いことに、ヒトだけでなく哺乳類の赤血球には核がないのですが、その他の生物 (爬虫類や鳥類など) には核があります。

赤血球の中にはヘモグロビンという酸素を運搬する物質がたくさんありますが、できるだけヘモグロビンを詰め込むために、進化の過程で核を捨ててしまうのかもしれませんね。

真核生物と原核生物

ヒトの体は、60兆個もの細胞からできていると言われています。

ヒト以外にも、地球上の全ての生物は細胞からできています。

ヒトや動植物の細胞は核を持っています。核をもつ細胞を真核細胞 (しんかくさいぼう) 、真核細胞でできている生物を 真核生物 といいます。

しかし、菌類など小さな生物の多くは核をもっておらず、そのような核をもたない生物を原核(げんかく)生物 といいます。

より正確には、核膜がないといった方がいいかもしれません。原核細胞でも細胞の設計図であるDNAはもちろんあります。

原核生物は、言ってみれば学生さんのワンルーム部屋で、その中に生活に必要なものが全てあるような状態です。

それに対して、真核生物はキッチンや寝室など、それぞれの活動をする部屋が分かれている状態です。

もちろん、それぞれの部屋に分かれていたほうが効率的なので、原核生物から真核生物へと進化してきました。

関連サイト・図書

この記事に関連した内容を紹介しているサイトや本はこちらです。

【高校生物の物語】細胞内小器官:細胞の中には何があるのか

血液成分とその役割【血液の基本】

まとめ

最後に今回の内容をまとめます。

  • 細胞の大きさは10 ~ 50 μmで、小さくて肉眼では見えない
  • 特殊な形をした細胞や、神経のようにとても長い細胞もある
  • 核がない原核生物から、核がある真核生物へ進化してきた

今日も【医学・生命科学・合成生物学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA