研究者のトレーニングは大学院で行われますが、大学院は給料が出ないだけでなく逆に授業料を払う必要があるため、経済的にも辛い時期になります。
この記事では、生命医学系 (広い意味のバイオ系)の大学院生が応募できる、返さなくていい (給付型の) 奨学金をまとめました。
この記事の内容
修士課程から応募できるもの
帝人久村奨学金
帝人久村奨学金は医学・薬学系、バイオ学系、理工学系、工学系、情報学系の大学院生向けの奨学金ですが、条件を満たした場合に返済が免除になる制度です(修士は月8万円、博士は月10万円)。
卒業後、帝人奨学会指定の大学や研究機関等で学術研究活動に一定期間従事した場合には、返還が免除されます。
日本学生支援機構第一種奨学金
日本学生支援機構第一種奨学金は、厳密には給付型ではなく返済する必要がある奨学金ですが、大学院で第一種奨学金の貸与を受けた場合、在学中に特に優れた業績をあげた者として認定された場合には奨学金の全部または一部の返還が免除される制度があります。
知り合いには、生化学の名門誌であるJournal of Biochemistryに筆頭著者として書いた学術論文がアクセプトされ免除された人がいます。
吉田育英会マスター21
吉田育英会マスター21は大学院において自然科学系分野を専攻する学生に対し、 奨学金を支給している制度です。
月額8万円を、全国で15名程度の方に支援しています。
中部奨学会
中部奨学会の奨学金制度は、毎年4-5月に募集があります。修士課程の学生の場合、定員は2名で、月額6万円を支給してもらえます。
博士課程向け
日本学術振興会特別研究員
学術振興会特別研究員はDC1, DC2の2種類があります。いずれも、月額20万円を3年間 (DC1) ないし2年間 (DC2) 給付してくれる、国内で最も大きな経済サポートになります。
倍率は5倍程度で、結果的にDC1は700名近く、DC2は1000名近く採用されています。
DC1には採用していただいたことがあるので、別の記事で申請書の書き方やその他体験談をまとめます。
吉田育英会ドクター21
吉田育英会ドクター21は大学院において自然科学系分野を専攻する学生に対し、 奨学金を支給している制度です。
月額20万円のほか、学校に納付する授業料などを最大で250万円までサポートしてもらえます。
採用人数は年間5名程度です。
本庄国際奨学金
本庄国際財団の日本人大学院生奨学金は、主として博士号取得を最終目的とする日本人大学院生に、奨学金を支給する制度です。
学位取得までの最低年限を支給期間とし、金額は支給期間により月額20万円(1~2年間)、月額18万円(3年間まで)、月額15万円(4年を超える期間)となっています。
毎年9-10月に募集があり、3 ~ 5人が採択されます。
理化学研究所 大学院生リサーチアソシエイト (JRA)
理化学研究所 大学院生リサーチアソシエイトは大学院博士(後期)課程の人を非常勤研究者として受け入れ、理化学研究所の研究者の指導のもとで研究を行う制度です。
国内の大学との共同研究という形をとることもできます。
毎年10-11月に募集があり、採用されれば月額164,000円が支給されます。
中部奨学会
中部奨学会の奨学金制度は、毎年4-5月に募集があります。博士課程の学生の場合、定員は6名で、月額6万円を支給してもらえます。
武田財団
武田財団の医学部博士課程奨学助成は、月30万円を最大4年間支援してもらえる制度ですが、医師免許を持っている人でないと応募できません。
しかも応募できるのは、7つの旧帝大(北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学)からそれぞれ2人ずつまでという制約があります。
もし医師免許を持っていて、旧帝大の大学院に入学し、かつ2枠の推薦をもらえるなら積極的に応募するべき給付型奨学金です。
関連サイト・図書
この記事に関連した内容を紹介しているサイトや本はこちらです。
まとめ
最後に今回の内容をまとめます。
- 返済不要の給付型奨学金がある
- 修士から応募できるものもちらほら
- いずれも狭き門なので、複数応募してチャンスを高くするべき
今日も【医学・生命科学・合成生物学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。