60代から70代になると食事の量が減りがちになり、そのままにしておくと筋肉量が減少してサルコペニアと呼ばれる状態になることがあります。この記事では、サルコペニアについて簡単にまとめた後、家庭でできる簡単な検査や対策法を紹介します。
この記事の内容
サルコペニアが起こる仕組みとその症状
筋肉では新しいタンパク質が作られ (合成)、同時に古いたんぱく質が壊される (分解) が常に行われています。
年齢が上がると合成よりも分解される量が多くなるため、筋肉量が徐々に減ってしまうのです。この筋肉量が減ることをサルコペニアといいます。
筋力の低下によってまず歩く速度が遅くなり、その後徐々に着替え・入浴といった日常生活でも動きが困難になってきます。
体を支える筋力も低下するので、転倒や骨折の危険性も増し、介護が必要になることもあります。
あまり知られていませんが、筋肉には血糖値を調節する働きもあるので、筋肉量が減少することで糖尿病が起こりやすくなります。
糖尿病については65歳以上の3割が糖尿病! 糖尿病の基礎知識【分類と症状】にまとめています。
サルコペニアの可能性を調べる簡単な検査
サルコペニアの可能性を調べる簡単な検査「指輪っかテスト」があります。
両方の手の親指と人差し指で「指輪っか」をつくり、利き足ではない方のふくらはぎの一番太い部分に当てはめます。
「囲めない」場合はサルコペニアの可能性はほとんどありませんが、「ちょうど囲める」だと「囲めない」の2.4倍、「隙間ができる」だと「囲めない」の6.6倍のサルコペニアの可能性があります。
家庭でできるサルコペニアの予防
筋肉量を維持するために必要なのは、タンパク質を摂ることと運動を行うことです。特に、食事量が減ってきた場合はサルコペニアの予防のためたんぱく質をより意識した食事を摂るようにしましょう。
厚生労働省が発表している日本人の食事摂取基準によると、高齢の方が筋肉量を維持するためには1日に体重1 kg あたり最低でも1 g 以上のタンパク質を摂る必要があると言われています。体重60 kgなら60 g以上のタンパクということです。
肉や魚をしっかり食べる
肉や魚などの動物性タンパク質には BCAA と呼ばれるタイプのアミノ酸がたくさん含まれています。この BCAA はタンパク質の分解を抑えたり、合成を促す働きがあります。1日2食を目安に、肉や魚をとるといいでしょう。
タンパクを手軽にとれる食品を活用する
タンパク質摂取量を増やすには、手軽に摂れる食品を活用することもできます。例えば、
卵1個につきタンパク6.4 g
納豆1パックにつきタンパク6.6 g
牛乳200 mLにつきタンパク6.6 g
ヨーグルト100 gにつきタンパク3.6 g
が含まれており、手軽にタンパクをとることができます。
タンパク質と一緒にビタミン D もとる
ビタミン D は、筋肉ではタンパク質合成を促す働きがあります。摂取量の目安は1日あたり8.5マイクログラムです。
毎日、というのは難しくても、一週間を平均すれば1日あたり8.5マイクログラム以上になるように心がけるといいでしょう。
鮭一切れにつきビタミンD 25.6マイクログラム
サンマ1匹につきビタミンD 13.2マイクログラム
ビタミン D を増やすには、日光に当たることも欠かせません。冬は特に外出の機会が減るためビタミン D が不足しがちになります。
近くを散歩するなど積極的に出歩くようにします。
関連サイト・図書
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まとめ
最後に今回の内容をまとめます。
- 食事量が減るとサルコペニアの危険性あり
- 指輪っかテストで家庭でも簡易的に検査できる
- タンパクとビタミンDを意識してとることが予防に重要
今日も【生命医学をハックする】 (@biomedicalhacks) をお読みいただきありがとうございました。