臨床医学雑誌のランク 【世界五大医学雑誌を中心に】

医学と一言にいっても、細胞な遺伝子の研究など生命科学に近い領域 (基礎医学) と、実際の患者さんを診察・治療する領域 (臨床医学) があります。

基礎医学系の雑誌については別の記事で紹介しているので、この記事では臨床医学分野のハイレベルな学術雑誌を見ていきます。

New England Journal of Medicine (NEJM)

NEJMは、継続して発行されている医学雑誌の中では最も長い歴史があり (1812年創設)、世界で最も広く読まれ影響を与えている医学雑誌です。

医師や生命医学研究者でNEJMを知らない人はいないでしょう。

インパクトファクター (IF, 雑誌の影響力の指標) も70を超えており、次に紹介するランセットと並んで最も著名な医学雑誌です。

マサチューセッツ総合病院で診断に難渋した症例がCase Records of the Massachusetts General Hospitalという名前で毎週のように掲載されていて、学生さんや若手医師の勉強会でよく教材として使われています。

また、日本では南江堂が日本語版を運営しています。

Lancet

Lancetは上で紹介したNEJMと並び称される臨床医学雑誌で、1823年から現在まで続いています。

Lancetは外科手術の道具の名前ですが、外科領域に限らず幅広い医学分野の最高峰の論文のみを掲載することで知られ、論文を編集部に投稿しても掲載してもらうのは至難の技です。

インパクトファクターも60近くあり、名実ともにNEJMと並んで臨床医学の最高峰の雑誌といっていいでしょう。

Lancetにはそれぞれの分野に特化した専門誌もあり、その領域において厳しい審査を行いそれぞれ一流論文のみを掲載することで知られています。

The Lancet Child & Adolescent Health (小児科)、The Lancet Diabetes & Endocrinology (糖尿病)、The Lancet Gastroenterology & Hepatology (消化管)、The Lancet Haematology (血液)、The Lancet Infectious Diseases (感染症)、The Lancet Neurology (神経学)、The Lancet Oncology (腫瘍学)、The Lancet Psychiatry (精神科)、The Lancet Respiratory Medicine (呼吸器)、The Lancet Rheumatology (リウマチ)、The Lancet Public Health (公衆衛生)、The Lancet Digital Health (人工知能等) などがあります。

JAMA (Journal of the American Medical Association)

JAMAはアメリカ医師会 (American Medical Association) が1883年以来発行している学術誌で、研究成果だけでなく解説記事、医事ニュース、投書などいろいろな内容からなっています。

インパクトファクターは47で、上記2誌についで影響力が高い臨床医学雑誌です。

Lancet誌と同じく、JAMAもそれぞれの科におけるハイレベルな論文のみを掲載する関連誌もたくさん発行しています。

BMJ (British Medical Journal)

上で紹介したJAMAはアメリカ医師会が発行していましたが、BMJはBritish, つまりイギリス医師会が発行する雑誌です。

1840年から続いていて、国際的にも権威が高いので、医師であれば読んでおくべき雑誌とも言われています。

Annals of Internal Medicine

Annals of Internal Medicineはアメリカ内科学会が発行する雑誌で、内科のさまざまな科のハイレベルで価値の高い学術論文が掲載される雑誌です。

内科学では世界で最も読まれている学術誌です。

ここまで紹介した5雑誌 (NEJM, Lancet, JAMA, BMJとAnnals of Internal Medicine)を合わせて世界五大医学雑誌などと言うこともあります。

各科専門誌

これまではいろいろな科を集めた総合誌を紹介してきましたが、もちろんそれぞれの科に特化した専門雑誌もあります。

例えば血液内科ならBlood, 消化器内科ならGastroenterlogy, 循環器内科ならCirculationといった雑誌は、その分野における世界をリードする雑誌で、インパクトファクターも20近くあります。

論文の探し方

論文を探す方法はいくつかありますが、最も確実なのはPubMed (パブメド) を使うことです。
誰でも無料で使え、その使い方については別の記事にまとめています。

関連記事【図解】PubMedの使い方【生命医学論文検索方法と日本語パブメド】

また、今回紹介した雑誌は臨床医学のトップジャーナルですが、もっとミクロなiPS細胞などの生命科学・基礎医学の研究が掲載される雑誌もあります。

そういった雑誌については長くなるので別の記事で紹介しています。
関連記事おすすめの生命科学雑誌40選 【日本語の情報もある】

関連サイト・図書

この記事に関連した内容を紹介しているサイトや本はこちらです。

【図解】PubMedの使い方【生命医学論文検索方法と日本語パブメド】

おすすめの生命科学雑誌40選 【日本語の情報もある】

まとめ

最後に今回の内容をまとめます。

  • 臨床医学雑誌の筆頭はNEJMとLancet
  • あと3誌加えて世界五大医学雑誌
  • 各科に特化した専門誌もある

今日も【生命医学をハックする】 (@biomedicalhacks) をお読みいただきありがとうございました。

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