肺気腫の進行度【GOLD/BODEステージ】
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【生命医学をハックする】運営者 (@biomedicalhacks)。生命科学研究者、医師・医学博士。プロフィールはこちら

肺気腫にはいくつかの 病期 (ステージ) があり、これによって症状の程度を分類します。それぞれのステージによって最適な治療計画があります。

ステージには大きく2種類の方法、「GOLD Emphysema Staging System」と「BODE Index」が知られているので、この記事ではそれぞれ順番に解説します。

GOLD肺気腫病期分類システム

GOLD Emphysema Staging Systemは、Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD)によって確立されました。

GOLDとは、WHO(世界保健機構)とNHLBI(米国心臓、肺、血液研究所)の共同プロジェクトに、世界中の医療専門家が協力する形で始まった世界的な活動です。

この基準では、1秒間に肺から吐き出せる空気の量 (医療従事者の間では努力呼気肺活量 (FEV1)と呼ばれている) を測定します。

他に、症状や過去1年間に入院した回数、肺のCT検査を総合して、次の4つのステージのどこにいるのか、が決定されます。

グループA(Gold 1またはGold 2)

症状はとても軽く、FEV1が80%以上あります。この1年間、発作は起きていないか、1回だけです。

肺気腫の症状による入院はない方がこのカテゴリーです。

グループB(Gold 1またはGold 2)

FEV1が50%から80%の間で、グループAの人よりは症状が多く、多くの方が咳や喘鳴、息切れで病院を受診します。

この1年間、症状のために入院はないという条件もあります。

グループC(Gold 3またはGold 4)

肺への空気の出入りが非常に限られていて、FEV1は30%から50%の間です。

症状の観点からは、過去1年間に2回以上発作が起きたか、少なくとも1回は入院という方がこのグループです。

グループD(Gold 3またはGold 4)

息を吸ったり吐いたりするのが非常に困難で、過去1年間に少なくとも2回発作が起きているか、少なくとも1回は入院している状態です。
グループDの方の肺気腫が悪化した場合、命に関わることもありえます。

BODEインデックス

肺気腫の別のステージ分類法であるBODEインデックスでは、肺気腫が日常生活に与える影響を測定します。

BODEというのは評価項目になる4つの基準の頭文字です。

体格指数 (Body mass index)

BMIは身長と体重から計算される数値で、体重 (Kg)を身長 (m) で2回割り算をして求めます。

例えば体重60 kg, 身長160 cm (1.6 m) であれば、60 ÷ 1.6 ÷ 1.6 で、BMIは23.5です。

通気制限 (Obstruction)

肺機能検査の結果から、肺の損傷の程度がわかります。どれくらい空気の通りが悪くなっているかということを示します。

息切れ (dyspnea)

どのくらいの頻度で、いつ息切れを感じるかについての一連の質問を通して、呼吸困難の程度が決まります。

運動能力 (Excise)

6分で何メートル歩けるかという数値です。

これら4つの観点から肺気腫の患者さんの予後スコアがこのように計算されます。

ポイント 0 1 2 3
BMI > 21 21以下
%FEV1.0 (%) 65以上 50-64 36-49 35以下
呼吸困難 0-1 2 3 4
6分歩行距離 (m) 350以上 250-349 150-249 149以下

肺気腫の進行を食い止めるには適切な治療が不可欠

肺気腫は自然によくなることはなく、何もしないと時間の経過とともに悪化していきます。

もし肺気腫にかかっているのであれば、なるべく早期に治療を開始する必要があります

問題なのは、早期の肺気腫はあまり症状がなく、より進んだ状態になってから病院を受診することが多いということです。

早期の異常を検知するためには、正しい病気の知識が必要です。肺気腫の症状については肺気腫の症状と原因 【禁煙しないと急速に悪化する】にまとめましたので合わせてお読みください。

関連図書

この記事に関連した内容を紹介している本はこちらです。

肺気腫の症状と原因 【禁煙しないと急速に悪化する】

【医師が解説】COPD(肺気腫)の症状・診断・治療

まとめ

最後に今回の内容をまとめます。

  • 肺気腫の進行度に応じて治療方針が変わる
  • ステージには大きくGold分類とBODE分類の2つがある
  • 肺気腫の病状は進行するのでなるべく早期の治療が必要

今日も【生命医学をハックする】 (@biomedicalhacks) をお読みいただきありがとうございました。

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