家庭での血圧の測り方と測定方法のポイント 【健康診断で高血圧と言われたら】
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【生命医学をハックする】運営者 (@biomedicalhacks)。生命科学研究者、医師・医学博士。プロフィールはこちら

血圧が高い方は予備軍を含めると1000万人を超え、生活習慣病の1つに数えられています。

血圧が高いと何か問題なの?
健康診断で血圧が高いと言われたけどどうすればいい?

こういったギモンについてこの記事では解説しています。結論はタイトルの通りで、「病気を予防するためにも家庭での血圧を測り、より危険な高血圧になっていないかチェックしよう」ということです。

血圧を下げるのは大きな病気を防ぐため

血圧が高い状態が続くと血管へのダメージが徐々に蓄積していき、心筋梗塞に代表される血管家の病気の大きなリスクになることは昔から知られていました。

そのため、こういう病気を防ぐという意味で、血圧を適正値に保つのが大事なのです。

ちなみに高血圧には他の病気が潜んでいることもあり、高血圧の症状と原因【隠れた病気による高血圧もある】にまとめています。

従来は高血圧の基準は収縮期 (最高) 血圧140/拡張期 (最低) 血圧90で、高血圧の方はこの値を目標に血圧を下げる生活習慣の改善 (高血圧の食事と注意点【減塩のコツも】)や薬による治療 (高血圧薬の種類と副作用【高血圧治療薬の本当の意味】)を行っていました。

しかし2019年にこの目標は10下げられ、より適正値に近い130/80に変更されています。

この見直しの根拠となったのはアメリカで行われたSPRINTという大規模な研究です。この研究では、50才以上の1万人近い高血圧の患者さんを、「通常通り」140/90を目標にした治療をするグループと、「厳しめ」130/80を目標にした治療をするグループの2つに分け、長期間追跡しました。

その結果、「厳しめ」グループの方が心筋梗塞や脳卒中などの心臓血管系の病気になりにくいということが分かり、日本でもその「きびしめ」の130/80を目標にすることになったのです。

健康診断の血圧はあてにできない

血圧を適正に保つことの本当の意味は心臓血管系の大きな病気を予防することにあります。しかしながら、健康診断で測定する血圧ではあまり参考にならないことはご存じない方が多いです。

実は血圧は24時間の中で変動しています。そしてその変動のパターンは、大きく分けて4種類あることが学術研究の結果明らかになっています (Stroke prognosis and abnormal nocturnal blood pressure falls in older hypertensives. Hypertension 2001)。

つまり、1回だけ測る血圧はあてにならず、本当は24時間の血圧が大事なのです。特に、日中はそれほどでもないが夜になると高くなる方が一定数いて、これは無症状の脳梗塞 (例えばラクナ梗塞と呼ばれる一種の脳梗塞) になりやすいことが知られています。塩分を多く取る方や、シフト勤務制の方、あるいは睡眠時無呼吸症候群の方は特に注意です。

早朝に血圧が上がるタイプの方も注意が必要で、朝起きてすぐに活動を開始する人や、夜遅くまで酒を飲んでいる人が当てはまりやすいです。

また、朝に薬を飲んでから病院にいき、そこでは薬の影響で血圧が一見下がっているように見えても、薬が切れてしまうと血圧が大きく上がる患者さんもいます (仮面高血圧と呼ばれています)。

必ずしも血圧の薬でなくても、薬の副作用で血圧が下がったように見える場合もあるのです。

自分にとって血圧の上昇しやすいタイミングが分かっていれば、医療機関でそれに合わせた治療も可能です。そのため、健康診断や病院で測る1度きりの血圧ではなく、家庭で血圧の変化をこまめに見ていくのが望ましいのです。

家庭での血圧の測り方

昔は専用の機械が病院にしかありませんでしたが、今は家庭で使いやすい血圧計がいろいろ市販されています。

大きく2種類のタイプがあり、上腕部で測定する上腕式血圧計という病院にある一般的なタイプだけでなく、手首で測定できる腕時計タイプも登場してきました。

両方とも血圧の正しい測定のために重要なポイントについてまとめます。

上腕式血圧計のポイント

上腕式の血圧計の注意点としては大きく2点あります。

Point
1. カフ (腕に巻く部分) にあるエアチューブが肘関節にかからないようにすること
2. カフの中心が心臓の高さにくるように高さを調節すること

この状態を作ってから、椅子に深く腰掛け、両足を床につけリラックス (足はくまない) してから測定ボタンを押してください。正確な値を取りやすく、しかもデータは専用アプリで管理することが可能です。

腕時計タイプの血圧計のポイント

手首式の血圧計は心臓の高さまで腕をあげて体から5 cm程度離します。測定中に動くと正しく測定できないので、反対の腕などで動かないように支えるといいでしょう。

測定になれるまではばらつきが出やすいですが、数回やってコツを掴めば数値も安定します。

血圧だけでなく歩数や睡眠計測などもでき、簡易的なスマートウォッチとしても使うことができます。

ちなみにアメリカでは血圧だけではなく指先で簡易的な心電図もとれる血圧計が市販されています。脳梗塞の大きな原因の1つである心房細動と呼ばれる不整脈は、自分では気が付かない人が多いという問題があります。簡易的な心電図をとることで心房細動も検知し、血圧と合わせて将来の脳梗塞リスクを減らそうという取り組みです。

残念ながら日本ではまだ販売されていないものの、登場したら記事で紹介します。

関連図書

この記事に関連した内容を紹介している本やサイトはこちらです。

高血圧の症状と原因【隠れた病気による高血圧もある】

高血圧の食事と注意点【減塩のコツも】

高血圧薬の種類と副作用【高血圧治療薬の本当の意味】

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