ウェブブラウザさえあればどこからでも手軽に使えるGoogleのColaboratory (Colab) が、よりパワーアップしColab Proという名前で登場しました。この記事ではColab Proを日本から使う方法についてまとめます。
この記事の内容
Google Colabとその制約
この記事を読んでいる方なら説明不要かと思いますが、Google ColabとはGoogleが提供する無料の環境です。
もともとAnacondaベースのPython環境が構築済みであり、GPUやTPUも利用できることもあって、特にデータサイエンスや機械学習エンジニアの方たちによく使われています。
当サイトでも以前Google Colaboratoryでデータサイエンスを始めよう【使い方入門】という入門向け記事を書きました。
このGoogle Colabは無料で使えるのですが、いくつかの制約もありました。
90分ルール: ノートブックのセッションが切れてから90分経過するとColabが落ちる
Google Colab Proにも依然として制約は無いわけではありませんが、大幅に緩和されています。
Google Colab Proと無料版の違い
無料版のGoogle Colabと、有料版のGoogle Colab Proの違いは大きく次の3点です。
より大きなメモリ
より高速なGPU
それぞれについて補足します。
より長い実行時間
無料版では最長で12時間だった利用時間ですが、Pro版ではそれが最長24時間に引き伸ばされています。
また無償版では使っていない状態になると最長90分後に接続が切断されますが、Pro版ではそれも起こりにくくなっています。
より大きなメモリ
無料版ではメモリになっていますが、Colab Proだとメモリを増量したハイメモリ仮想マシンを選ぶことができます。
GPUに切り替えるおなじみの画面に、Proを契約していると「ランタイムの仕様」という項目が追加され、ここで切り替える事が可能です。
無料版と比べ、およそ2倍の容量になっています。
より高速なGPU
Google Colabの無料版でもNVIDIA Tesla K80の無料GPUを使うことができますが、Pro版では優先的に高速なNVIDIA Tesla T4やNVIDIA Tesla P100を割り当ててもらえます。
無料版とPro版にはGPUの種類が違うということの他にも使用量上限に大きな違いがあるらしいです。
コストを考察する
Colab Proは月々9.99ドルかかります。これはどうなのでしょうか?
試しに同じGoogleが提供しているクラウド環境Google Cloud Platform (GCP) で、Colab Proとほぼ同じ環境、つまり1 GPU (NVIDIA Tesla T4)、ハイメモリ (約30GB) のマシンを作ってみました。
1時間あたり0.5ドルかかるようです。
もちろんPro版といえどもいろいろな制約があり、完全に自由に使えるGCPとは単純には比較はできませんが、月々20時間を超えてGPUを使う場合はGCPよりお得になります。
データサイエンスのちょっとした勉強にはPro版は不要だと思いますが、そのレベルを超えてがっつりと使いたいという場合には有力な選択肢の1つだと思います。
Google Colab Proを日本から定期購読する
Colab Proを使うためには、まずこのページにアクセスし、googleアカウントでログインします。
日本の住所で登録しているクレジットカードがあれば登録できます。アメリカの郵便番号を入力する欄もありますが、ここは適当に(例えばボストンの02115とか)を入れておけば登録できます。
Google Colab Proに登録すると、このようにPROマークがつきます。
まとめに代えて
この記事では、Google Colab Proの特徴と日本から使う方法についてまとめました。
非常にパワフルなツールをお手頃価格で使えますので、ぜひ使ってみて下さい。
ちなみに普段は生命医学系のデータ解析の多くをColabでやっていて、生命科学の学術研究に便利なコツもいろいろ見つけています。それらも少しずつシェアしていこうと思います。
関連図書
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Google Colaboratoryでデータサイエンスを始めよう【使い方入門】
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