医師執筆記事 (厚労省医籍登録番号499533)
今日は関節リウマチという病気について2019年現在の最新情報をまとめます。
私自身も椅子としていう町の患者さんの診療に携わった経験がありますが、この病気の患者さんはとても多いです。正しい医学知識をなるべくわかりやすくお伝えします。
この記事の内容
関節リウマチの症状
関節リウマチとは、手足の指に炎症が起き、腫れや痛み、関節の変形などが起きる病気です。ひどくなると、日本皮膚科学会が公開している写真のようになってしまいます。
リウマチ患者さんの5人に4人が女性で40-50才代の方に多いです。
関節リウマチの初期は、風邪や疲れ、などだと思われて病院受診が遅れがちです。例えば、
- 朝起きた時、手や足の指が動かしにくい
- 関節に違和感があり, 熱っぽさを感じる
- 握力が低下し,ペットボトルや瓶の蓋が開けづらい
このような症状に心当たりがあれば早めに病院を受診しましょう。
リウマチは早期発見が治療の近道です.
関節リウマチの原因は免疫系の異常
炎症の原因は、本来体をウイルスや細菌などの外敵から守ってくれている体の免疫の仕組みが異常になり、自分の体を攻撃するようになることです。
このような免疫異常で起きる病気をまとめて、専門的になりますが「膠原病」 (こうげんびょう) といいます。
残念ながらなぜ異常になるのか、については解明されていません。
誰でもかかる可能性がありますが、タバコを吸う方や肥満ぎみの方はこの免疫異常を起こしやすいということが知られています。
リウマチの治療薬
リウマチは手足の関節の変形を起こすため、悪化すると日常的な動作が困難になり、一昔前は寝たきりになる方も多い病気でした。
今は薬の進歩で腫れや痛みを和らげ、関節の変形を防ぐことができるようになってきました。
早いうちに治療を開始すれば、薬で症状を抑えながら発症前と変わらない生活を送れる可能性も高いです。
具体的には、リウマチの治療薬として関節の炎症や発汗を抑えるメトトレキサートなどの薬が使われてきました。
最近はそれに加えて、生命科学の研究の成果で「分子標的型治療薬」や「生物学的製剤」など さまざまな薬が登場しています。
東京都健康長寿医療センターのホームページの図を引用しますが、日本では1999年からメトトレキサートが1999年、生物学的製剤が2003年から使えるようになり、リウマチ患者の症状を大きく改善しました。
関節リウマチの進行は発症後すぐの頃から急速に起こることが分かってきました。
症状がひどくなくても、関節の内部では炎症が続き、関節破壊が進行している場合もあります。
ですので、最近は少なくとも3ヶ月ごとに薬物療法を見直すことが行われています。あとでもう一度紹介しますが、症状がよくなってきたと思っても治療の自己中断は厳禁です。
リウマチは適切な薬によって症状をコントロールすればストレスなく日常生活を送ることができます。
関節に痛み腫れ違和感などがある場合は早めに整形外科もしくは内科で診断を受けてください。
リウマチの患者さんに聞かれる質問
リウマチ患者さんが気になる質問について、いくつかまとめました。
リウマチが治る見込みは?
残念ながら、すでに変形してしまった関節を薬で回復させることはできません。変形による痛みが激しい場合は、その関節を手術で置き換えるという治療が検討されます。
しかし症状の進行を抑え、日常生活を問題なく送れるようにすることはできます。
リウマチになったら気をつけることは
リウマチの進行には個人差があります。自己中断で薬を減らしたり中止したりすることは絶対にやめましょう。
食事に関して、「葉酸」という栄養素にはリウマチ治療薬であるメトトレキサートの効果を抑える作用があります。
普段の食事からの摂取量ぐらいでは気にする必要はありませんが、葉酸サプリメントなどの使用は避けた方が無難です。
リウマチは遺伝するの?
遺伝性の病気ではないので子供にリウマチが遺伝することはありません。
さまざまな研究成果、リウマチの進行を食い止めることはできるようになってきました。しっかりと正しい知識をつけ、そして信頼できる専門医にいち早く診てもらうことが大事です。
まとめ
最後にこの記事の内容をまとめます。
- リウマチの初期は「風邪」とか「疲れ」などと考えられやすい
- 関節に違和感がある場合は早めに整形外科もしくは内科へ
- 早いうちに治療を開始すれば、薬で症状を抑えながら発症前と変わらない生活を送れる
- 薬を自己判断でとめることは絶対NG
- リウマチは遺伝しない
今日も「生命医学をハックする」をお読みいただきありがとうございました。