オンライン診療の流れ・メリット・対象疾患 【課題もある】

現在、日本ではオンライン診療(遠隔診療)が始まっています。医療機関で医師の診療を受けるのと同じく、リアルタイムのビデオ通信などを通じてオンライン上で診療を受けることができます。

この記事では、オンライン診療の流れや、メリット・デメリット、対象疾患について見ていきます。

オンライン診療の流れと費用

オンライン診療の流れ

オンライン診療では、予約から会計までオンラインで完結することができます。

オンライン診療の利用方法は、

1.希望日時でオンライン診察を予約
2.オンライン診察(ビデオ通話等)を受診
3.医師の診断、お薬の処方
4.クレジットカードで会計
5.処方箋の原本が自宅へ郵送される
6.処方箋の原本を調剤薬局に持参し、薬を受け取る

というのが一般的です。

ただし、1回目 (初診) は必ず実際の医療機関を受診しなければいけません。

2回目以降は、オンライン診療を受けることができるための条件が決まっていて、その条件は保険診療か自由診療かでも変わります

つぎにこれを見ていきます。

オンライン診療における保険診療と自費診療

保険診療か自由診療(自費診療)かによって、オンライン診療を受診できる条件が変わってきます。

簡単にいえば、自由診療のほうがお手軽にオンライン診療を受けることができます。

条件をまとめると、保険診療の場合は、
1. 6ヵ月以上、実際に医療機関に通ったあとは、オンライン診療の受診が可能
2. ただし少なくとも3ヵ月に1回はその医療機関を実際に受診しないといけない

自費診療の場合は、2回目からはオンライン診療の受診が可能で、実際の医療機関を受診する必要はないということです。

自費診療というと高額で先進的な医療というイメージがある方も多いですが、保険診療で認められている医療行為・医薬品のみを採用しているクリニックも多いです。

オンライン診療における費用

では、オンライン診療はいくらぐらいの費用負担になるのでしょうか?

オンライン診療は、2018年4月から公的医療保険が適用されることになりました。。

オンライン診療関連の診療報酬は、「オンライン診療科」と「オンライン医学管理料」です。
オンライン診療料:1カ月につき70点
オンライン医学管理料:1カ月につき100点

オンライン診療料というのは医療機関を実際に受診するときにかかる再診料 (72点) の代わりですので、保険診療では対面診察と同じ額の費用でオンライン診療を受けられます

診療報酬 (医療費) については、医療費の基本を復習する【医療費控除計算の前提知識】にまとめました。
[getpost id=”1921″ title=”関連記事” ]

オンライン診療のメリット・デメリット

オンライン診療のメリットとデメリットをまとめます。

オンライン診療のメリット

1. 希望の曜日や時間に受診できる
オンライン診療は予約制が一般的です。待ち時間なく、診察を受けたい日時に受けることができます。

2. 24時間いつでも予約可能
スマホやパソコンから24時間いつでも予約できます。

3. 支払いはキャッシュレス
クレジットカードでの決済なので、会計手続きのための待ち時間もなくなります。

4. 忙しくても、あるいは体調が悪くても受診を継続しやすい
病気が悪化してしまうのを防ぐことができます。

5. 家族の通院の付き添いが不要になる。
特に遠方の場合にはご家族が付き添われることも多いですが、オンライン診療ではそれが不要になります。

オンライン診療のデメリット

反対に、デメリットもいくつかあります。
1. 画面の大きさの制約があり、現在治療中以外の場所をみてもらいにくい。

2. パソコンやスマホ等の操作が必須で、特にご高齢の方など慣れていない方は支援が必要。

3. 薬の受け取りが数日先になる。

これらは現状の大きな課題です。

オンライン診療の対象疾患

オンライン診療は、継続的な通院が必要になる慢性的な疾患と相性がよく、高血圧症や脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、高尿酸血症などのいわゆる生活習慣病や、花粉症などのアレルギー関連の治療で浸透していくことが予想されます。

一方で、眼科や耳鼻科、泌尿器科や整形外科などの疾患だと、保険診療でのオンライン診療がほとんどできません。

患者さんが医療を受けやすい環境を整備するためには、オンライン診療がより幅広い疾患で使えるようになる必要が課題として残されています。

オンライン診療の適切な実施に関する指針とビデオシステム

オンライン診療では個人情報を扱うため、セキュリティーを確保した通信手段を使うことなどが、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に決められています。

例えば、医療機関を対象とした、セキュリティ対策をしたオンライン診療用ビデオ通信システムを複数の会社が開発しています。

MRT社のポケットドクター、メドレー社のCLINICS(クリニクス)、情報医療社のcuron(クロン)、インテグリティ・ヘルスケア社のYaDoc(ヤードック)などのサービスが、日本全国で合わせて約2000の医療機関に導入されています。

これらについてはオンライン診療アプリの比較 【主要4社の特徴】にまとめました。
[getpost id=”3420″ title=”関連記事” ] 日本国内にはおよそ10万箇所医療機関がありますので、今後さらに導入施設は増えていくでしょう。

オンライン診療は、自身の都合に合わせて自宅や職場等で診察を受けることができます。これまでの通院と比べてさまざまな時間が軽減され、忙しい人たちをはじめより多くの人がストレスを感じずに手軽に治療を受けられるようになっていくでしょう。

まとめ

最後に今回の内容をまとめます。

  • オンライン診療でも初回はオフライン必須。保険診療の場合は、オンラインでできるための条件がある
  • オンライン診療は特に慢性的な生活習慣病と相性がよい
  • セキュリティを担保した通信システムは今後ますます増えていく

今日も【医学・生命科学・合成生物学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA