マイクロRNA (miRNA) は、22塩基ほどの小さな核酸ですが、生命科学において非常に重要な役割を担っています。
この記事では、主にマイクロRNAの実験に携わる方に向けて、執筆時点で利用可能なデータベースやウェブツールをまとめました。
miRNAの配列とアノテーション
miRBase
miRBaseはmiRNAの主要なリポジトリーで、全ての種の全ての既知miRNA配列とそのアノテーションが収集されています。
Rfam
RfamはRNAアノテーションのための統一システムで、miRNAファミリーについても情報が収集されています。
miRIAD
miRIADmは遺伝子内 (イントロンなど)にあるmiRNAとその宿主遺伝子に関する情報を宿主とするように設計された。
構造ツール
マイクロRNAの二次および三次構造は、特異的結合タンパク質による認識や他のRNAとの相互作用に重要です。
代表的なmiRNA構造予測ツールにはViennaRNAとRNAstructureが知られています。
マイクロRNAの発見ツール
新規miRNAの発見は複雑ですが、さらなる生命現象の理解に向けて必須です。この目的のために様々なツールが開発されてきました。
MiRscan
MiRscanは線虫における保存されたmiRNAの同定のための使いやすいツールです。
miRNAFold
miRNAFoldはゲノム中のmiRNAを大規模に予測するための迅速なアルゴリズムです。
miRDeep, miRanalyzer
miRDeepやmiRanalyzerなど、次世代シークエンサー (RNA-seq)データに基づいて新規miRNAを同定するいくつかのツールもあります。
ChIPBase
ChIPBaseはmiRNAを含む小分子RNAを制御する転写因子についての情報が集まっています。
miRNAの標的予測
TargetScan
TargetScanは、配列の一致性に基づくマイクロRNAの標的となる遺伝子を予測するウェブツールです。
PITA
PITAもTargetScanと同様、有名な標的遺伝子予測ツールです。
DIANA-TarBase
DIANA-TarBaseは実験的にマイクロRNAの標的であることが確かめられた遺伝子についてのデータベースです。
miRecords
miRecordsは実験的に確認されたmiRNAの標的遺伝子だけでなく、上記の予測ツールが出す標的予測遺伝子をまとめて表示できるツールです。
miRNAと表現型との関連
HMDD
HMDDはキュレーション済みのヒト疾患関連miRNAを集めたデータベースです。
miRCancer
miRCancerは、がんとマイクロRNAについてのデータベースです。
SM2miR
SM2miRでは化合物とmiRNAについての包括的なデータを得ることができます。
ENCORI
ENCORI(旧starBase)はmiRNA相互作用ネットワーク解析は一般的な研究方向であり,多くのデータベースは特定の型の相互作用を記録する。頻繁に使用されるmiRNA相互作用データベースは、miRNAと他のRNAおよびceRNAネットワークとの相互作用に関するいくつかのデータセットを統合する。
PceRBase
PceRBaseは、植物においてmiRNAを抑える働きのあるCompeting endogenous RNA (ceRNA) に関するデータベースです。
miRandola, ExoCarta
細胞外miRNAは臨床応用に向けたバイオマーカーの有力な候補です。miRandolaやExoCartaは、細胞外miRNAに関しての専門的なデータベースです (ExoCartaはエクソソームに関しての情報源)。
miRGator
miRGatorは、次世代シークエンサーによるマイクロRNA解析や、マイクロRNAの発現量などについてのポータルサイトです。
まとめ
最後に今回の内容をまとめます。
- マイクロRNAの主要なレポジトリはmiRBase
- マイクロRNAの同定や標的予測もある程度ツールで可能
- マイクロRNAと病気に関するデータベースも作られつつある
今日も【医学・生命科学・合成生物学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。