研究費を助成してくれる団体は数多くあります。この記事では、30代まで (研究開始が遅い医師の場合は40代前半まで) の「若手研究者」しか応募できないものに限って代表的なものをまとめます。
4月締め切り
地神芳文記念研究助成は酵母あるいは糖鎖に関する研究を支援しています。
39歳以下の研究者が応募でき、採択されると50万円の研究助成がいただけます。
6月締め切り
住友財団基礎科学研究助成は、、重要でありながら研究資金が不十分とされている基礎科学研究 (特に新しい発想が期待される若手研究者による萌芽的な研究) を支援する制度です。
数学、物理学、化学、生物学の各分野とその融合研究 (工学的なものも含む) が対象で、最大で500万円の研究資金をいただけます。
若手にしては額が大きいこともあり、倍率は10倍程度となかなか高いです。
MSD生命科学財団の研究助成では、「がん領域」「感染症領域」などの疾患と関わるいくつかの領域で40才以下の研究者に助成をしています。
採択されると150万円 x 2年の研究費が支給されます。
7月締め切り
井上リサーチアウォードは、自然科学の基礎的研究で博士の学位取得後9年未満の研究者に贈られる研究助成金です。
例年だと7月が締めきりで、12月に4件以内が選ばれ、研究助成金500万円が支給されます。
文部科学大臣表彰若手科学者賞は、30才代以下の科学者を対象とした最も大きな賞の1つです。
萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた方に授与されます。
小野医学研究奨励助成は、財団によって決められる助成テーマにあう研究内容であれば、基礎研究、臨床研究を問わず応募できます。
満40才以下の研究者を対象としていて、採択されれば100万円の研究費が支給されます。
安田記念医学財団の若手癌研究助成は、癌の予防と治療に関する研究に携わり、癌制圧事業に熱意のある若手研究者に贈られます。
40才以下の方が応募でき、採択されれば100万円の研究費が支給されます。
日本医師会医学研究奨励賞は日本医師会の若手会員 (45才未満)への褒章で、基礎医学・社会医学・臨床医学を通じ15名に授与されます。
8月締め切り
サントリーSUNBOR GRANTは、生物有機科学分野の若手研究者を支援する制度で、年度ごとに設定される研究分野に対し研究助成金が支給されます。
30代までだけでなく、少し上の42歳までの方が応募できます。採択 (6件程度) されれば、年間最大200万円を3年間支給していただけます。
9月締め切り
井上研究奨励賞は、理学、医学、薬学、工学、農学等の分野で過去3年の間に博士の学位を取得した37歳未満の方に贈られます。
応募するためには全国の大学長などの推薦が必要です。12月に40件が決定し、採択されれば賞状・メダル及び副賞50万円がいただけます。
加藤記念研究助成は、バイオサイエンスの基礎分野において、独創的且つ先駆的研究をめざす若手研究者に贈られ、M分野 (メディカルサイエンス)、B分野 (バイオテクノロジー分野) が合わせて23件程度、E分野 (環境バイオ分野) が4件程度の助成になります。
MとB分野は40才以下、E分野は35才以下の方が応募でき、締切は9月で、採択されるとM/B分野は200万円、E分野は100万円の研究助成金が支給されます。
コニカミノルタ画像科学奨励賞は、「AI、エレクトロニクス、ICT、医療、生命科学、バイオテクノロジー、材料、デバイス、光学、環境、エネルギー、ロボティクス等の幅広い技術領域を対象とします」と書かれている通り、さまざまな研究分野から応募できます。
共通しているのは、広い意味での「光と画像」についての研究立案が必要ということです。40才以下の方が応募でき、優秀賞 (4件程度) に選ばれると100万年、奨励賞 (10件程度) に選ばれると50万円の研究費が支給されます。
10月締め切り
花王科学奨励賞は、「表面の科学」の〈化学・物理学分野〉と〈医学・生物学分野〉について助成されます。
原則として35歳以下の研究者が応募でき、両分野5件ずつ採択されます。助成金額は1件200万円です。
また、10月は科研費のシーズンでもあります。若手研究などは学位をとってからの年数制限があるので若い研究者でも比較的狙いやすいです。
長寿科学賞は、長寿科学に携わる若手研究者を対象とした表彰事業です。
2名以内と狭き門ですが、選ばれると楯と副賞100万円がいただけます。
12月締め切り
風戸研究奨励賞は、電子顕微鏡と関連装置の研究・開発、電子顕微鏡を使う研究提案(医学、生物学を含む)に対して贈られる研究費助成です。
満35才以下の研究者を対象にしていて、採択されれば研究費200万円が支給されます。締切は例年だと12月上旬です。
笹川科学研究助成は、独創性・萌芽性・新規性をもつ若手の研究を支援する制度です。
人文・社会科学と自然科学(数物・工学、化学、生物、複合、ただし医学を除く)に関する研究が対象で、35歳以下の方が応募できます。
採択されると研究費100万円が支給されます。
3月締め切り
日本癌学会奨励賞は若手のがん研究者への報奨事業です。日本癌学会の会員歴3年以上で、かつ満40歳未満の方が応募できます。
基礎医学から5件、臨床医学から5件程度が選考されます。
まとめに代えて
この記事では30代までの研究者に特化した研究助成・賞を紹介しました。
若手に特化した助成は、シニア研究者も応募可能なものと違い業績などがまだ十分なくてもチャンスがあり、もし獲得できれば研究資金になるだけでなくそれ自体が業績になります。積極的にチャレンジしたいものです。
「研究資金獲得法の最前線:科研費採択とイノベーション資金活用のフロント」は、さまざまな研究資金について解説し、それぞれの区分でどのような点が見られているのか、審査員目線でまとまっています。
具体的な申請書の書き方は「科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック」などが定番の本で、科研費だけでなく他の助成金にも使えます。
20・30代の研究者の中には、海外留学を考えている方もいらっしゃると思います。さまざまな財団の留学フェローシップについては海外研究留学のための助成金・フェローシップ【経験談あり】でまとめています。
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