新型コロナウイルスのテクノロジーを使った対策 【予測・早期検出・治療】
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【生命医学をハックする】運営者 (@biomedicalhacks)。生命科学研究者、医師・医学博士。プロフィールはこちら

2019年末に初めて報告され2020年現在流行している新型コロナウイルス2019-nCoVと2002-2003年にかけて流行したSARSの間には、地理的位置からウイルスの広がりまで、多くの類似点があります。

しかしこの17年の間で、多くのことが変わりました。SARSが流行した2003年には存在しなかった、あるいは十分に開発されていなかった新しい技術が、現在では普及しており、新型コロナウイルスの管理や予防に役立つと期待されています。

この記事では、そのようなテクノロジーを紹介します。

新型コロナウイルスとは

中国・武漢市で最初に確認されたコロナウイルスと呼ばれる一群のウイルスの仲間で、風邪のような軽度の症状から重症の急性呼吸器症候群を引き起こすことがあります。

このウイルスはコウモリで発見されたウイルスと密接に関連していることが判明していて、当初は生きた動物を販売する海産物卸売市場で広まった可能性が指摘されています。

しかし、その後インフルエンザのような人から人への感染が確認されており、世界的に急速に広がっています。折しも人の往来が多くなる旧正月の時期に発生したことも感染の拡大に少なからず影響を与えています。

AIでウイルスの拡大を検出する

SARSが発生した当初は中国はウイルスの存在を隠蔽し、国際社会から強い批判を浴びました。今回はそれに比べれば公表が早かったとはいえ、初動の遅さを指摘する声もあり、納得できない人もいます。こうした信頼の問題を回避するには、人工知能が解決策になり得ます。

実際、トロントに拠点を置く健康モニタリングA.I.プラットフォームのBluedotは、新型コロナウイルスの蔓延に関する警告を発した時、世界保健期間 (WHO) と アメリカ疾病予防管理センター (CDC) の両方を出し抜きました

このAIは、最初にウイルスが出現した後、武漢から東京へとウイルスが移動する可能性を正確に予測しています。

Bluedotは自らを「世界で最も危険な感染症の広がりを追跡し予測するためにビッグデータ分析を使用するデジタル健康会社」と呼んでいます。

Bluedotのアルゴリズムは、ニュースレポート、航空会社のデータ、動物の病気の発生に関するレポートなど、山のような情報を調べることでトレンドを特定し、それを専門の疫学者が確認するという流れになっています。

新型コロナウイルスでだけでなく、人の移動データを使ってエボラ出血熱の流行をモデル化するのにも同社のアルゴリズムが使われていました。

感染モニタリング

ジョンズ・ホプキンス大学のシステム科学工学センターは、報告された症例を可視化し追跡するオンライン・ダッシュボードを開発しました。

すべてのデータをGoogle Sheetとしてダウンロードできるようにもしています。

彼らが使用するデータは、WHO、CDC、中国CDC、中華人民共和国 国民健康委員会 (NHC)を含む様々なソースから収集され、NHCと現地のCCDCの状況報告をほぼリアルタイムで集約しています。

このダッシュボードは、出どころが明らかなデータソースを使用して、アウトブレイクの状況をより多くの人に知ってもらうことを目的としています。

早期検出のための新しいテクノロジー

新型コロナウイルスのコロナウイルスの流行では、公表から1週間以内に原因が特定され、その直後に最初の診断検査が開発されました。

さらに、シンガポールを拠点とするVeredus Laboratories社は、携帯型の新型コロナウイルス検出キットの開発に取り組んでいて、このキットは2月1日にも市販される予定です。

https://www.mobihealthnews.com/news/asia-pacific/veredus-laboratories-announces-development-detection-kit-wuhan-coronavirus

迅速で携帯可能な検出キットの登場により、特に病院が混雑している場合に、現場の医療チームが感染者をより迅速に特定できるようになります。

ゲノムシークエンスをしてワクチンをつくる

新型コロナウイルスのゲノムは、最初の症例が発見されてからわずか1カ月足らずで中国の科学者によって完全に解読されました。

SARSの時は、2002年末頃に発生し、2003年の4月にようやく全ゲノムが入手できるようになったことを考えれば、驚異的なスピードです。

ゲノムの情報は、特にワクチンの開発にとって極めて重要であると期待されています。

例えば、Coalition for Epidemic Preparedence Innovations(CEPI)は、通常は何年もかかるこのウイルスに対するワクチンをわずか16週間で臨床試験に使用できるよう、製薬会社を支援してきました。

病原体のゲノム配列をより迅速に決定できるようになることで、適切な治療法を見つけるスピードも速くなり、その過程でより多くの命を救うのに役立つでしょう。

ロボットを使って治療する

2019-nCoVウイルスはヒトからヒトへの感染が確認されており、医療従事者の感染リスクは高いと言わざるを得ません。

逆に医療スタッフから広まってしまうこともあるでしょう。このような時に医療用ロボットがとても役立ちます。

実際、アメリカで新型コロナウイルス感染症と診断された患者さんはロボットを使って治療されました。

感染者がたくさんいる中国の混雑した病院ではロボットを使うというのは現時点ではあまり現実的ではありませんが、技術の進歩により隔離された患者はロボットの助けを借りて治療できるようになあるでしょう。

医療配達用のドローンを使えば、武漢のような地域にも薬や物資を配達することができます。

いずれにしても、新型コロナウイルスの管理と防止は、専門家と国際協力に大きく依存することになります。技術の助けを借りて、感染が一日も早く収束するといいですね。

関連サイト・図書

この記事に関連した内容を紹介しているサイトや本はこちらです。

【高校生物の物語】ウイルスの仕組み【ハーシーとチェイスの実験も】

まとめ

最後に今回の内容をまとめます。

  • 新型コロナウイルスはAIも予測していた
  • 診断キットやワクチンの開発が進んでいる
  • ロボットを駆使した治療もアメリカでは行われた

今日も【生命医学をハックする】 (@biomedicalhacks) をお読みいただきありがとうございました。

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