女性研究者はもともと男性に比べて少なく、さらに妊娠・出産をする場合にはどうしても研究者のキャリアにブランクができてしまいます。
そのため、女性研究者や、ライフイベントで一時的に研究を離れていた方を支援する女性専用の研究助成や賞がいくつか用意されています。
この記事では、特に生命医学系のものに絞って紹介します。
大学院生向けの援助
将来のリーダーになり得る優秀な女子学生に学資を授与し, その勉学と研究活動を奨励することを目的とした、大学院生向けの制度があります。
大学女性協会が行っている一般奨学金 (20万円, 6名)・安井医学奨学金 (30万円, 1名)で、1948年から続いています。
また、女性のみ応募可能ではなく男性も応募できる制度にはなってしまいますが、大学院の給付型奨学金一覧 【学振DCだけではない】に他の大学院生を支援する制度もまとめています。
女性研究者を対象とした助成
資生堂 女性研究者サイエンスグラントは、指導的研究者を目指す女性を支援する研究助成です。
自然科学分野の幅広い研究テーマ(理工科学系・生命科学系全般)を対象に、毎年10名の女性研究者へ研究助成を行っています。
新規性・独創性があり、意欲のある研究女性研究者を支援しています。採択されれば、100万円の研究費がいただけます。
日本学術振興会の特別研究員-RPDは、優れた女性研究者が、出産・育児による研究中断後に円滑に研究現場に復帰できるように支援する制度です。
年齢制限はなく、採択されれば月額36万円ほどの給料と、研究費として150万円が、3年間いただけます。
内藤記念女性研究者研究助成金は、出産・育児によって研究が中断した後の研究現場への復帰を支援する制度です。
博士号を持ち、出産から60カ月以内の女性研究者が対象です。
採択されれば、年間200万円の研究費が3年間いただけます。
また、男性も応募できるものになってしまいますが、若手研究者を支援する制度についても30代までの研究助成や賞 【若手向け生命医学研究助成一覧】にまとめています。
女性研究者を対象とした科学賞
ロレアル – ユネスコ女性科学者 日本奨励賞は、生命科学・物質科学の分野からそれぞれ2名、合計4名の女性科学者に贈られる科学賞で、副賞として100万円が贈呈されます。
猿橋賞は、自然科学分野を研究する50才未満の女性研究者に贈られる賞で、副賞として30万円が贈呈されます。11月締め切りです。
日本女性科学者の会奨励賞は、年間1-3名の女性研究者に、毎年の総会(例年5月)で表彰楯と副賞20万円を贈呈しています。
大学女性協会 守田科学研究奨励賞は自然科学を専門とす40歳未満の女性研究者を対象としていて、毎年2名以内の方に、賞状・副賞50万円が贈られます。11月締め切りです。
輝く女性研究者賞は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が原則40歳未満の女性研究者に贈呈する賞で、科学技術に関連していれば研究分野は不問です。
副賞100万円、応募締切は6月です。
日本女医会吉岡彌生賞は、「医学に貢献した女性医師 」または「社会に貢献した女性医師」に贈られる賞です。
締め切り12月、副賞20万円です。
日本女医会学術研究助成 溝口昌子賞は、申請時に55歳未満で、病院に臨床の常勤医として勤務しており、臨床・研究・教育・社会活動等を行っている女性医師(教授は除く)に30万円を贈呈する賞です。
まとめに代えて
この記事では、女性研究者向けの科学賞についてまとめました。
ライフイベントが男性よりも多くなりがちな女性研究者には、やはり先輩女性研究者の生き方が参考になると思います。
「理系の女の生き方ガイド 女性研究者に学ぶ自己実現法」 はまさにそのような本です。
また、女性研究者は特にワークライフバランスに悩まされます。その点についてのヒントを与えてくれるのが、「女性研究者とワークライフバランス: キャリアを積むこと、家族をもつこと」です。
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