毎年冬に流行するインフルエンザ。この記事ではインフルエンザの症状と経過、怖い合併症、そして熱が下がってから2日間は登校できないということを書いています。
この記事の内容
インフルエンザの症状
インフルエンザウイルスにはA型, B型, C型と3つの型がありますが、A型によるインフルエンザが全体の95%を占めています。このことはインフルエンザウイルスの種類と検査【発熱すぐは検査できない】でも書いています。
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インフルエンザの症状はウイルス感染後1~4日してから突然に起こります。寒気やゾクゾクする感じが最初の症状としてしばしば見られ、最初の数日で熱があがり、39℃を超えることも珍しくありません。
多くの場合、数日間は続きます。
のどの痛みや、せき、鼻水などの呼吸器症状は最初のうちは比較的軽いですが、1-2週間程度続くこともあります。
自宅でできるインフルエンザチェック
次の5項目に全て該当する場合、インフルエンザと思ってほぼ間違いありません。
・ 突然の発症
・ 38℃を超える発熱
・ のどの痛み、咳などの上気道症状がある
・ 関節痛、筋肉痛などの全身症状がある
・ 11月~3月である
インフルエンザの怖い合併症
肺炎
インフルエンザは、風邪とは違い、全身の病気です。そしてインフルエンザには怖い合併症があります。それが肺炎です。
インフルエンザウイルス自体が肺に広がること (ウイルス性肺炎) も、インフルエンザとは関係のない細菌(肺炎球菌やブドウ球菌など)が防御機能が低下している肺を攻撃 (細菌性肺炎) することもあります。
どちらの場合も、せきがひどくなったり、たんの中に血や膿が混じったり、ときには呼吸困難になることもあります。
特に、
4歳未満の小児
65歳以上の成人
(特に心臓や肺の)慢性疾患や、糖尿病を患っている人
妊娠中期以降の妊婦
は肺炎の危険性 (リスク) が高い状態にあります。これらの方々は特に、インフルエンザワクチンによる予防接種を事前に受けておくことが推奨されています。
インフルエンザ脳症
インフルエンザで最も重い合併症がインフルエンザ脳症です。死亡率は約30%に達します。
分かりやすいイラストがあったので転載させていただきますが、このような症状の兆しがあれば早めに受診が必要です。
【インフルエンザ脳症】
幼児も高齢者も大人も、なります。
インフル脳症の治療が遅れると、30%が死亡、25%が寝たきりや重度知的障害などの後遺症を残します。— ガム (@gumhamham) January 26, 2019
発症を予防するにはインフルエンザワクチンが有効です。ワクチン予防接種の最も大きな効果は、重症化を予防することなのです。詳しくはインフルエンザ予防ワクチンの話 【さまざまな疑問に答えます】にまとめました。
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インフルエンザの対処法
インフルエンザの最も大事な対処法は、安静にして水分を十分に摂取し、激しい活動を避けることです。
タミフルなどの抗インフルエンザウイルス薬は、発熱が続く期間と日常活動に復帰できるまでの期間を1-2日程度短くするだけです。これらはインフルエンザウイルスがこれ以上増えないようにする薬であり、今いるウイルスについては体の免疫系が対処する必要があるのです。詳しくはインフルエンザの治療薬【使ってはいけない解熱剤もある】をご覧ください。
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平熱に戻ってから1-2日で普段通りの生活に戻れますが、ほとんどの人は完全回復するまでにさらに数日かかります。
熱に対して安全なのはアセトアミノフェン製剤です。NSAIDsという別の解熱剤の仲間 (ロキソニンなど) には、重篤な脳の症状を発症する可能性があるものも含まれています。
安全なアセトアミノフェン製剤は一般の薬局でも購入することができます。
子ども用だと「小児用バファリン」などもアセトアミノフェンという安全な成分による解熱剤です。
解熱後2日間は登校禁止、大人もそれに準じる
学校保健安全法施行規則により、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」登校禁止になります。
発症というのは発熱を意味します。どんなに早く熱が下がっても、発熱した日を0日目として、登校できるのは6日目になります。
解熱した後2日は登校禁止なので、解熱した日の明々後日から登校可能になります。
こちらに分かりやすい図があるので合わせて参照してください。
学校保健安全法が定めているのは大学までの「学校」なので、仕事の場合は出勤停止についての法律による取り決めはありません。
一般的には学校と同じ扱いで休むよう取り決めがされているケースが多いですが、職場によってルールが違いますのでそれぞれ確認が必要です。
まとめ
最後に今回の内容をまとめます。
- インフルエンザの特徴は突然の発熱と全身症状
- インフルエンザの合併症に肺炎と脳症があり、リスクが高い人ほど予防接種を
- 発熱後5日間経過し、解熱後2日をすぎてから登校可能
今日も【生命科学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。