複業と働き方改革 【政府が推奨】

少子高齢化により人口が減りはじめた今の時代にあった新しい働き方が「働き方改革」の名の下に始まっています。

その中で、複数の仕事をピースのように柔軟に組み合わせる複業が推奨されるようになりました。
今回は複業とは何か、どうして推奨されるのかについてまとめます。

副業禁止からOKへ

複業容認の大きな理由の一つとして、政府が掲げる「働き方改革」という方針が変更されたことがあります。

2018年1月に、厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表しました。
これまではモデル就業規則というものを作っていたのですが、この中にあった「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定を削除して、副業・兼業について規定を新設したのです。

つまり、モデル就業規則の内容が「原則副業禁止」から「原則副業自由」に転換されたのです。

では、このモデル就業規則とは何でしょうか?

労働基準法第 89 条には、「常時 10 人以上の従業員を使用する使用者は就業規則を作成して所轄の労働基準監督署長に届け出なければならない」と書かれています。

会社独自の就業規則を作る企業もありますが、多くの企業は厚生労働省が提供している「モデル就業規則」を参考にして自社の就業規則を作成してきました

このモデル就業規則から、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」が削除されたのです。そして新たに 14 章「副業・兼業」という項目が新設されました。

抜粋
(副業・兼業) 第 67 条
労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出をものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。 ①労務提供上の支障がある場合 ②企業秘密が漏洩する場合 ③会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合 ④競業により、企業の利益を害する

つまり、就業規則の「お手本」である国のモデルガイドラインで、複業OKになったのです。

なぜ複業が推奨されるようになったのか

なぜ政府が推奨するようになったのかというと大きく2つの理由があります。

1つには古き良き終身雇用性がもはや崩壊しているからです。

ゼロからの出発だった戦後の復興期とは異なり、今は景気が踊り場になっています。大手企業の業務撤退も珍しくなくなってきました。

同じ会社に定年まで勤めるのが美徳された時代は終焉を迎えています。

会社が一生責任を持って雇ってくれるとは限らない以上、自分で複業をして会社以外の収入を確保するのは当然の流れでしょう。

もう1つの要素として、少子高齢化による労働力不足があります。労働力が減っているのに業務の量は変わらないと、労働時間が長くなりさまざまな病気になります。

実際、仕事による労働災害は増え続けています。

そのため、社外のより専門的なスキルを持つ人材に業務を委託することで、自社の労働力不足に対応できるようになり、労働者としても介護の都合等でフルタイムでは働けなくても時間がとれる時に仕事をすることができるようなるのです。

副業の種類

副業OKと促されても、いきなり副業を本格的に始められる人は決して多くないでしょう。

自作のアクセサリーを販売したり、AirbnbやAnycaなどのシェアリングサービスなど副業にはさまざまな種類があります。

自宅にいながらにして得意なジャンルの仕事を受注できるクラウドワークスやランサーズもあります。

余裕が出てくれば、例えば週に3日ずつ複数の企業に勤務するとか、本業以外の時間にアルバイトをするとか、知識や経験を活かして講演するとかしていくこともできます。

この点については別の記事でまとめます。

複業のメリットと注意すること

複業が認められると、たくさんのメリットがありますが、注意点もあります。

労働者側

メリット
1. 仕事をやめなくても別の仕事にも就くことが可能になり、経験を得ることで、自ら主体的にキャリアアップができる.

2. 本業を続けつつ、よりリスクの小さい形で自分のやりたいことに挑戦できる。本業は必ずしも自分のやりたいこととは限らない。

3. 所得が増加する (かもしれない)

注意点
1. 労働時間が長くなる可能性があるので、自分自身による管理もある程度必要。

2. 労働時間が短い仕事を複数行う場合には、雇用保険などがない場合もある

企業側

メリット
1. 労働者が自社内では得られない知識・スキルを習得できる。 その結果、事業機会の拡大につながる。

2. 優秀な人材を獲得したり、流出を防止できる。

2については少し説明が必要ですね。

企業側は、副業を禁止すると能力の高い社員の離職につながってしまう可能性があります。

なぜならば、優秀な人材であればあるほど需要はたくさんあり、少子化による労働力不足も加わって、より条件のよい企業に転職してしまからです。

逆に副業を認めれば、他の会社に勤めている優秀な人材を自社に招き入れることができます。

まとめ

最後に今回の内容をまとめます。

  • 就業規則のお手本が改定され、複業OKになった
  • 日本は労働力不足&景気減退になっていくので、自分で複数の仕事を柔軟にこなす能力が求められる
  • 労働時間など、自己管理には注意が必要

今日も【医学・生命科学・合成生物学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。

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