生活習慣病の1つ糖尿病や高脂血症は、予備軍も含めると日本に1000万人を超える患者さんがいる病気です。
[getpost id=”1177″ title=”関連記事” target=”_blank”] [getpost id=”2049″ title=”関連記事” target=”_blank”]それと同じくらい、あるいはもっとたくさんの患者さんがいる病気は高血圧です。
症状に乏しいのですが、放置すると大きな病気につながってしまいます。
また、隠れた病気が潜んでいることもあります。
今回はそんな高血圧の基礎知識を紹介します。
血圧には収縮期と拡張期の2つがある
心臓から送り出された血液は、全身の臓器に送られます。このときに通る動脈にかかる圧力のことを「血圧」といいます。
血液を送り出すには、心臓は収縮する必要がありますが、この時の血圧である収縮期血圧は高くなり (上の血圧)、反対に心臓が拡張して返ってくる血液を受け入れる時の拡張期血圧は低くなります (下の血圧)。
高血圧とは、その名前の通り血圧が高い状態で、高血圧の方は国内に約4000万人とも言われています。
高血圧の症状
高血圧には、これという自覚症状がありません。
しかし、長期間放置すると動脈硬化が進行して心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす原因となってしまいます。
そのほかにも、高血圧は腎臓の障害につながります。腎臓の障害は高血圧の原因にもなるので、高血圧が腎臓の機能を低下させ、腎機能低下により高血圧がさらに悪化していくという悪い循環を形成してしまいます。
関連する話題として、血圧を下げることの本当の目的はこちらの記事にも書いています。
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高血圧の基準
血圧は1日のうちでも変動しやすく、それ以外にも、喫煙や飲酒、カフェインにも影響されます。同じ条件での血圧測定が必要になります。
病院では上の血圧が140以上、あるいは下の血圧が90以上 (140/90以上) で高血圧と診断されますが、自宅で血圧を測定する場合は、少し低めに出るので135/85以上で高血圧と診断されます。
このように高血圧の基準は、測り方で変わります。
そして2019年に高血圧学会が改定したガイドラインで、「高血圧」でなくても、130以上の場合には治療が必要ということが発表されました。
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高血圧は症状がないのが怖い病気で、心筋梗塞などの症状につながってからでは命に危険が及びます。なるべく早期のうちに適切な治療を受けましょう。
高血圧の原因
高血圧の背景には病気が隠れているかもしれません。
高血圧の原因となる疾患がある場合は「二次性高血圧」、ない場合は「本態性高血圧」といいます。
高血圧の大多数を占めるのは本態性高血圧で、これは遺伝と生活環境の相互作用によって発症すると考えられています。
高血圧につながるよく知られている生活環境として
・ 食塩の量
・ ストレス (による交感神経活性化)
・ 肥満
があります。特に食塩の量と肥満は重要な項目ですので別記事で対処法をまとめました。
[getpost id=”1835″ title=”関連記事” target=”_blank”] ストレスを改善するという意味でも、また医学的な意味でも、運動も大事な治療戦略になります。こちらも別記事で紹介しています。[getpost id=”1898″ title=”関連記事” target=”_blank”]
病気による高血圧 (二次性高血圧)
二次性高血圧は高血圧患者さんの約1割程度ですが、原因となっている病気の治療が必要です。代表的なものとして以下のようなものがあります。
腎実質性高血圧
腎臓そのものの病気によるもの。例えば腎臓の機能が低下すると、尿量も減るため、体の水分量が増加して血管壁がより強く押されるようになります
腎血管性高血圧
腎臓の動脈が狭くなることで、腎臓に行く血液量が減ります。尿はもともと血液を濾過して作っているので、尿量も減ることになります。
内分泌性高血圧
ホルモンの分泌異常による高血圧です。例えば血圧を制御するレニン-アンジオテンシン-アルドステロンという一群のホルモンがありますが、副腎という臓器に異常があってアルドステロンをたくさん分泌する状態だと血圧が上がります。
血管性高血圧
動脈の炎症や、あるいは生まれつき (先天性) 狭い場所があるということで起こる高血圧です。
まとめ
最後に今回の内容をまとめます。
- 高血圧の基準は140/90
- 症状に乏しいが放置すると重大な病気につながる
- 2次性高血圧では、原因となる隠れた病気が潜んでいる
今日も【医学生物学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。