高血圧に有効な運動療法 【運動の強さ・頻度・注意点】

高血圧の治療のベースになるのは生活習慣の改善であり、そのうち食事療法については別の記事で書きました。
[getpost id=”1835″ title=”関連記事” target=”_blank”] 今回は、生活習慣の改善におけるもう1つの大きな柱である運動療法についてご紹介します。特に、運動の強さや頻度、そして逆に運動をしてはいけない場合があることは必見です。

血圧を下げるには

高血圧の定義は、収縮期血圧 (上の血圧) 140 mmHg以上 あるいは拡張期血圧 (下の血圧) 90 mmHg以上であり、これは日本国内にはおよそ4000万人もいるということは以前紹介しました。
[getpost id=”1766″ title=”関連記事” target=”_blank”] 日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2019」では、降圧治療には、生活習慣の修正降圧薬治療が列挙されています。

このうち、降圧薬治療については目が行きがちですので、高血圧薬についてもまとめています。
[getpost id=”1807″ title=”関連記事” target=”_blank”] 薬による治療と並行して、あるいは薬よりも前から行った方がいいのは生活習慣の修正です。

ガイドラインの「生活習慣の修正」には、
1)食塩摂取量の制限
2)野菜や果物の摂取の促進
3)飽和脂肪酸や総脂肪摂取量の制限
4)体重減少(肥満の場合)
5)運動・身体活動量の増加
6)アルコール摂取量の制限
7)禁煙

が書かれています。このうち5) 運動・身体活動量の増加について見ていきましょう。

高血圧の運動療法

運動をすることで、血管の内側にある内皮の機能を改善し、降圧効果が得られると言われています。

運動療法に推奨されているのは、以下のような有酸素運動です。

ウォーキング(速歩)・軽いジョギング・水中運動・自転車・その他レクリエーションスポーツなど

定期的に(できれば毎日)、30分以上の運動を目標としましょう。

きつい運動をすると運動中に血圧が大きく上がってしまうので、「ややきつい」と感じる中程度の運動強度がよいとされています。

掃除・洗車・子供と遊ぶ・自転車で買い物に行くなどの生活活動のなかで身体活動量を増やすことからはじめてもよいですね。

習慣的な有酸素運動により収縮期血圧がおよそ10 mmHg低下、拡張期血圧はおよそ5mmHg 低下させる効果があります。

高血圧改善のための運動は継続することに意味があり、中止すると1ヶ月以内に血圧がもとに戻ることが示されています。

運動は高血圧だけでなく糖尿病にも有効です。継続は力なりですね。
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運動をする時間帯

基本的に運動は1日のうちのどの時間帯でも構わないのですが、少し注意が必要な時間帯があります。

朝の運動

起床してから数時間は血圧が上昇していく時間帯です。
朝の激しい運動は大きな血圧上昇につながり体への負担が大きくなることもあります。

朝の運動はゆったりとした軽いウオーキングなどがオススメです。また起きたばかりの頃は脱水気味なので、水分を補給して脱水症状を予防することも大事です。

食後の運動

食後すぐ (30分程度) は消化・吸収が活発に行われるので、運動にはあまり向きません。食後1時間くらい過ぎてから運動を始めるのがいいです。

運動をしてはいけない場合

運動を実施する上での注意点として、準備・整理運動は十分に行うこと、医師の診察を受けて大きな心血管合併症がないことを確認し、個人の基礎体力などを踏まえて運動量を設定する必要があります。

また、未治療の重症高血圧(180/100mmH以上)の患者さんの場合、運動によりさらに血圧が上昇し、急性心筋梗塞やクモ膜下出血などの心血管事故を引き起こす可能性があることから、運動自体が危険です。この場合は薬などで速やかに血圧を下げる必要があります。

まとめ

最後に今回の内容をまとめます。

  • 運動は少しきついと感じるくらいで
  • 1日30分程度を目安に
  • 運動をしてはいけない場合がある

今日も【医学生物学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。

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