蕁麻疹 (じんましん) は様々な原因で起こる皮膚の症状です。この記事では、そんな蕁麻疹の種類や原因、そして病院を受診する際の注意点についてまとめました。
この記事の内容
そもそも蕁麻疹とは
蕁麻疹は突然皮膚の一部が赤く腫れて盛り上がる病気です。多くの場合は痒みがありますが、チクチクとした痒みに似た感じや焼けるような感じのこともあります。
盛り上がったあと、数時間から一日以内に症状が跡形もなく消えてしまうのが特徴です。
イラクサ(蕁麻(じんま))の葉に触れると同じような皮膚症状が起こるので、この名前がつきました。
皮膚の盛り上がり (膨疹、ぼうしん)の大きさは1~2mm程度の小さなものから手足全体になるくらいの大きなもので様々です。
蕁麻疹はどの年代でも発症します。日本人のおよそ10人に1人は生涯に一度は蕁麻疹を経験するといわれ身近な病気の一つです。
蕁麻疹は皮膚のアレルギー反応である
私たちの体には体内に侵入した病原菌などの異物から守る免疫の働きが備わっています。
蕁麻疹はこの免疫の働きに異常が起こることで発症します。
何らかの刺激によって皮膚にある肥満細胞という細胞からヒスタミンという成分が放出され、これが神経を刺激することでかゆみが起こります。
ヒスタミンには血管を拡張させる作用があるので血流が増加し、血液中の血漿成分(血液から白血球、赤血球などの細胞成分を除いた液体)が皮膚に漏れ出るなどした結果、皮膚が赤く腫れるのです。
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蕁麻疹の原因
蕁麻疹は原因が分かってるタイプと原因がはっきり分からないタイプに大きく分けられます。
コリン性蕁麻疹
特発性の蕁麻疹
それぞれ順番に解説します。
原因がはっきり分かっているタイプ
原因がはっきり分かっているタイプを刺激誘発性の蕁麻疹といい、蕁麻疹全体のおよそ3割を占めます。
様々な刺激が原因になりますが、代表的なものは服と皮膚のこすれ、日光、寒さ暑さ、圧迫などの物理的な刺激によるものです。
他にも特定の食べ物に対するアレルギーで出る場合があります。
例えば、サバやアジなどの青魚、豚肉などの肉類、タケノコなどが多いです。またエビやカニなどの甲殻類や、果物が原因になることもあります。
これらの食品に含まれるヒスタミンを放出させやすい成分が蕁麻疹を引き起こすと考えられています。
このタイプの蕁麻疹は、同じ食品を摂取しても材料やその日の体調などにより症状が出たり出なかったりする傾向があります。
汗をかいたり、汗はかかなくても汗をかくような刺激が加わることで蕁麻疹が起こるタイプもあり、コリン性蕁麻疹といいます。
それぞれの皮疹の膨らみが1~4mm程度と小さいのが特徴です。小さな赤みがつながったようになることはありますが、他のタイプの蕁麻疹と違って大きな平べったい膨らみになることはありません。
コリン性蕁麻疹は、運動や入浴以外に、緊張したり興奮するなど気分の変動が発汗を促す結果起こることもあります。
特に10~30歳代の人に多く発症し、この年代は進級・就職や結婚など人生の様々な転機を迎えることが多い時期でもあるのでコリン性蕁麻疹に悩まされている人は少なくありません。
大部分のものは出現して1時間以内に消失します。もし何日も続くようであれば、蕁麻疹ではなく、アセモや湿疹など、他の疾患を考える必要があります。
痒みの自覚がないか、あってもわずかであれば放置しても大丈夫です。
原因がはっきり分からないタイプ
何が刺激となって蕁麻疹が起こるかはっきり分からないタイプを特発性の蕁麻疹といい、蕁麻疹全体の約7割を占めます。
細菌やウイルスなどの感染疲や、食べ物、ストレスなど様々な原因が絡み合って起こるのではないかと考えられていますがはっきりとした原因は特定できていません。
皮膚症状だけでなく、全身倦怠感や関節痛・発熱などの何らかの症状がある場合は内臓の病気の詳しい検査を行う必要があります。
甲状腺疾患、ウイルス性肝炎、胃炎などがあると蕁麻疹が起こりやすくなることがあります。
もし自覚できる症状が皮膚に限られている場合は、何ヶ月ないし何年間か症状が続いた後、ほとんどの場合はやがておさまっていきます。
そのため、多くの場合は薬による治療で症状を改善することができます。
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病院受診時の注意点
病院を受診するなら、担当は皮膚科になります。
もし近くにアレルギー専門外来のある医療機関があれば、詳しい検査はそこですることもできます。
皮膚科がない場合、かかりつけの内科や小児科でも初期対応をしてもらうことができます。
病院を受診する時の注意点が2つあります。
蕁麻疹の写真をとる
この通りなのですが、少しだけ補足します。
蕁麻疹前後のことを細かく記録する
蕁麻疹が出る場所や、症状が出た時の状況などを詳しく聞くことで原因が分かる場合があります。
しっかりと時間経過をメモしておき、蕁麻疹が出る前に食べたものや運動をしたことなど、その前後のことを事細かに医師に伝えましょう。
蕁麻疹の写真をとる
蕁麻疹は時間の経過とともに治るので医療機関を受診する時に症状が出ているとは限りません。
そのため携帯電話などのカメラで蕁麻疹の症状を撮影しておき、受診する際に医師に見せるようにすると診断に役立ちます。
関連サイト・図書
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まとめ
最後に今回の内容をまとめます。
- じんましんはアレルギー反応によって起こる
- 食べ物や風呂上がりなどが誘引になることもある
- メモと写真を持って皮膚科を受診
今日も【医学・生命科学・合成生物学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。