学振審査と合格スコア 【特別研究員の選考法】
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自分の書いた申請書がどんな人に読まれるかを知っておくことは、通る申請書を書くために重要なことです。

この記事では、学術振興会特別研究員 (以下、学振)の審査法と予想合格スコアについて書いています。

学振の審査の流れ

学振は、博士課程の大学院生に月20万を支給する (返済不要) という制度であることはこの記事を読んでいる方ならご存知でしょう。

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学振は2月中旬に募集要項が発表され、6月上旬に申請書の締め切りがあります。

ただし、申請は大学などの所属機関でまとめて行う必要があり、そのため所属機関では5月中旬頃 (DCの場合)に締め切りが来ることに注意が必要です

申請書を提出した後は、審査員による一次 (書類) 選考選考があります。

審査員による評価をもとに、8月から9月下旬に審査会が開催され、その結果、面接免除者 (内定者)、面接候補者、不採用者にわかれます。

書類審査の結果が返ってくるのは10月の中旬頃で、例年は10月17日前後の週末になります。
例えば2020年なら、10月16日 (金) あたりが濃厚です。

面接候補者に選ばれた場合は、11月下旬から12月上旬にかけて2次 (面接) 選考選考が行われます。

東京の学振本部でスライドを使って発表と質疑応答し、その面接選考の結果は採用内定・補欠・不採用とあるのですがこれが12月下旬から1月上旬に通知されます。

補欠については、さらに2月下旬頃に繰り上げ結果についての開示が行われ、採用内定に繰り上がることもあります。

学振の小区分を選ぶ時に気をつけること

学振の申請は、以前は分野・分科・細目というように分かれて審査をしていたのですが、2019年度採用分から変更され、小区分に基づいた審査が行われるようになりました。

どの小区分に出すかはとても重要です。

参考にするべきは、書類審査セットです。これは共通の審査員が割り当てられる小区分の情報を示したものです。

実際の審査では、関連する複数の小区分を組み合わせて審査が行われます。それぞれの小区分をグループ化したものに対し、6人の書面審査員が割り当てられるのですが、このグループを書面審査セットと呼んでいます。

例えば医歯薬系の書類審査セットを見てみます。仮に神経の病気の生物学的な基礎研究をやっていて51030「病態神経科学関連」に出したいとしましょう。

この時に注意するべきは、これは医歯薬学4という書面審査セットになっているので、申請書を読む審査員は神経科学だけでなく「腫瘍学およびその関連分野」の先生もいるということです。

当然のことながら、腫瘍学の先生にも分かっていただけるような申請書にしなければいけません。

この書類審査セットは毎年見直しが行われているので、必ず確認しましょう。

申請書を読んでもらえるのは一瞬だけ

審査員一人につき30 ~ 80件ぐらいの申請書を読んでいます。

1人の申請書を10分かけて読んだとしても、30人分なら5時間、80人分なら15時間近くもかかっていてしまいます。

審査員をする先生方は忙しいので、自分の申請書をじっくりと読んでくださることはあまりないと思った方がいいです。

しっかりと読まないと理解できない申請書ではなく、短い時間で頭に入るような読みやすい申請書が好まれるのは間違いないでしょう。

書類審査の方法と合格点

審査員の先生方は申請書を読んだ後、

1. 申請書類から冷静される研究者としての能力将来性
2. 研究業績
3. 研究計画

について5段階の絶対評価をつけます。

1:見劣りする
2:普通である
3:良好である
4:優れている
5:非常に優れている

これらの点数をもとに総合評価をつけるのですが、これは5段階の相対評価であり、

5 採用を強く推奨する (10%)
4 採用を推奨する (20%)
3 採用してもいい (40%)
2 採用に躊躇する (20%)
1 採用を推奨しない (10%)

という割合でつけられます。

6人の審査員から総合評価され、最低6 (全員1, 採用を推奨しない)から最高30 (全員5, 採用を強く推奨する) の間の点数がつきます。

書類合格ライン (面接候補以上) は、DCの場合は22点、PDの場合は25点前後と言われています。

DCの場合は審査員1人あたり3.7平均、PDは1人あたり4.2平均でとらないといけないということです (例年通りの採択率の場合)。

この点数を、平均3で標準偏差0.6となるように調整した総合評価Tスコアというものも計算されます.

しっかりと字間をかけて申請書を準備する必要があります。

私自身は2015年度のDC1に面接免除で採用していただいた経緯があり、その時に注意した申請書のポイントについて機会があれば別の記事でまとめます。

関連サイト・図書

この記事に関連した内容を紹介しているサイトや本はこちらです。

大学院の給付型奨学金一覧 【学振DCだけではない】

海外研究留学のための助成金・フェローシップ【経験談あり】

学術振興会:書面審査セット

まとめ

最後に今回の内容をまとめます。

  • 小区分を選ぶときは書類審査セットに注意
  • 短時間でも分かるように書く
  • 5段階で3.7が合格最低ライン

今日も【医学・生命科学・合成生物学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。

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