オートクレーブ滅菌と乾熱滅菌の使い方 【注意点とアルミホイルの意味も】
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【生命医学をハックする】運営者 (@biomedicalhacks)。生命科学研究者、医師・医学博士。プロフィールはこちら

オートクレーブは生命科学実験でも医療器具にも広く使われている代表的な滅菌法です。また、乾熱滅菌も実験室では使われている滅菌法です。

この記事では、オートクレーブと乾熱滅菌のやり方や注意点についてまとめました。

オートクレーブ

オートクレーブとは、高温高圧に維持できる圧力釜のような装置を使って水蒸気による加熱滅菌を行う方法です。

水は100℃で沸騰してしまいますので、より温度の高い水蒸気にするためには圧力を上げる必要があります。具体的には、2気圧の状態では水の沸点は121℃ですので、オートクレーブの中を2気圧にすれば121℃の水蒸気を作り出すことができます。

この状態 (121℃、2気圧)で15分間以上保持することで,滅菌する方法がオートクレーブです。

115℃、1.7気圧、30分間以上というプロトコルもあります

オートクレーブのメリット・デメリット

オートクレーブで滅菌できるのは、培地の基礎成分や各種水溶液、実験・医療器具です。

特に水分の状態で滅菌できるのが、後述する乾熱滅菌にはない大きなメリットの1つです。

デメリットとして、熱に弱い成分 (タンパクなど) を含むものはオートクレーブできません (この場合は代わりに例えば濾過滅菌をします)し、揮発性の水溶液 (酢酸や炭酸水素ナトリウムなど) もオートクレーブ不可です。

また、生命科学研究でよく使われているPBS (+) などのカルシウム・マグネシウムイオンを含む場合もオートクレーブできません。

RNaseを不活化することもできません (後述する乾熱滅菌であれば条件次第で可能です)。

また、オートクレーブは原理的に水蒸気をあてるので、終了後に再度乾燥させる必要があるなどの欠点もあります。

オートクレーブ滅菌のやり方

まずオートクレーブするものをアルミ箔でくるむ、あるいはガラス瓶やビーカーなどに入れてアルミ箔で蓋をします。

オートクレーブ用のインジケーターテープを貼り、日付や滅菌者の名前など必要事項を記載します。

このテープはオートクレーブ滅菌されると色が変わって滅菌済みであることが分かるので、何らかの理由で滅菌が不十分でもチェックできます。

ちなみに、テープを貼るときは片方の端を少しだけ折り返してその部分がつかないようにしておくと、後で剥がす時に便利です。


オートクレーブに水道水を基準のレベルまで入れます。

より純度の高い水 (イオン交換水、MilliQなど) を入れる必要はなく、むしろそういった純度の高い水は電気伝導度が低いので空だき防止センサーが働いてしまって運転できなくなります


滅菌するものをオートクレーブのかごに入れます。

メディウム瓶などのフタは少し緩めておきます。そうしないと圧力の関係上、フタが開かなくなったり、最悪の場合は瓶が割れてしまうことがあります。


オートクレーブのフタを閉め、121℃、20分間にセットしオートクレーブをスタートさせます。温度・時間は目的に応じて変更可能ですが、ほとんどの場合はこの設定で問題ありません。

オートクレーブ終了後は、そのまま自然に覚めるのを待ちます。

オートクレーブ直後は、120℃、1.2気圧程度になっています。終了のブザーがなってすぐにフタを開けると、オートクレーブ内の方が気圧が高いので高温の蒸気が吹き出してきて火傷をしてしまいます


冷めたら取り出して、器具類は乾燥機に入れるなど、適宜片付ける

オートクレーブの注意点

オートクレーブの手順と一緒に注意点もまとめたので、ここではまだ紹介していないもののみ列挙します。

プラスチックはオートクレーブできないものが多いです。詳しくはプラスチックのオートクレーブ可能・不可能の見分け方 【生命科学実験の初歩】をご覧ください。

液体は振動などのちょっとしたきっかけで沸騰し突沸することがあります。これにより溶液の濃度が変化してしまった場合もあり、厳密な試薬ならば作り直しが必要になることもあるのでなるべく振動を与えないように注意する必要があります。

乾熱滅菌

乾熱滅菌器は200℃以上に加熱できるオーブンで、加熱することで細菌等を焼き殺し、RNaseなどの酵素や有機物を変性させることができます。

乾熱滅菌できる器具は、200℃程度の高温に耐えられる材質のみでできているものに限られます。例をあげれば、

ガラス器具
金属製の器具
磁器製
テフロン製

です。

乾熱滅菌の方法

洗浄・乾燥が終わった器具にアルミ箔でフタをしたり、器具全体をアルミ箔で包みます。ピペットは滅菌管に入れておきます。

乾熱滅菌用のインジケーターテープを貼り、日付や滅菌者などの必要事項を記載します。

オートクレーブよりも、乾熱滅菌こそ器具の滅菌前後の見た目の変化が少ないので、ぜひテープを貼くのをおすすめします。


オーブンに入れて160℃で2時間滅菌します。滅菌温度と時間は適宜変更できます。

一般的な滅菌なら
160-170℃で2-4時間または
180-200℃で30分-1時間

RNase freeにするための滅菌なら
180℃で8時間以上または
250℃で30分以上

ただし遠心管などの機械的な強度が必要なものは、200℃以上に加熱してはいけない。


電源を切り、自然に冷めるのを待つ

アルミホイルの意味

オートクレーブ (や乾熱滅菌) でアルミホイルを巻くのは、コンタミ防止の意味があります。

オートクレーブ滅菌後は濡れていますが、この状態で装置の扉を開けると水滴が落下して瓶などに水滴が付着してしまいます。

さらにこの時から装置内は滅菌状態ではなくなりますので、水滴はコンタミの原因になっていきます。アルミホイルはこのようなコンタミから中のものを守る働きがあります。

また、ピペットの缶など、クリーンベンチなどに持ち込むものの場合はできる限り汚染されたものを持ち込みたくありませんね。アルミホイルで包んでおいて、持ち込む直前にそれを外すことで、きれいな状態で搬入することができます。

そのため、破けることのないよう厚手のアルミホイルを使うといいでしょう。

関連図書

この記事に関連した内容を紹介しているサイトや本はこちらです。

プラスチックのオートクレーブ可能・不可能の見分け方 【生命科学実験の初歩】

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